トラックドライバーは仕事上どうしても受け身の立場に立たざるを得ず、荷主など仕事を出す側の人間の差配によっては、ずいぶんと理不尽な目に遭うことがしばしばあります。
手待ち時間やサービス荷役などトラックドライバーの付帯作業にはグレーゾーンがつきまといますが、そもそも仕事を出す側の人間の意識が変わらない限り、こうした問題はなかなか無くならないのではないでしょうか?
トラックドライバーは自分の意のままに動かせる手ごまではないし、本来、仕事上は対等の立場であるべきです。しかし、物流の現場ではこんな理不尽なこともまかり通っているんですね。中堅ドライバーの渚・涼のパパの怒りの告発です。
文/中堅ドライバー・渚・涼のパパ 写真/フルロード編集部
*2016年9月発行トラックマガジン「フルロード」第22号より
事情もわからぬまま、いきなり「連行」されて……
私が仕事先でのトラブルで思い出すことは、大手物流配送センターにトラック専属便として出入りしていた頃の出来事です。
その物流センターは地域の営業所を束ねる大きな支店で、多くの荷物やトラック、関係者等、頻繁に出入りがありました。
そのようなロケーションであるため、まれに荷物が見当たらないので調べたがわからないことがありました。後になって探していた荷物が見つかることや他の営業所に荷物が誤着していること、さらに荷物そのものがなくなってしまうこともありました。
ある時期、高価な家電商品ばかりが頻繁になくなる事件が発生し、問題になっていました。このことは物流センターの役職のみが知る機密扱いになっており、現場作業員や私たちドライバーは知りませんでした。
私がいつものように物流センターに出勤すると、なんの前触れもなく副所長に呼び出され、「ついて来てほしい」と言われ連れて行かれたのは、作業員やドライバーはまず行くことがない配送センター上階の一室でした。
まるで刑事ドラマのように……
中には男性が4人おり、私は椅子に座らされ、いわゆる「取り調べ」を受けるはめになりました。
若い男が大声で「何故ここに来たのかわかるか? ホンマはわかっているやろ! おまえがやったんじゃないのか!」と言葉を浴びせかけると、年配の男は、「まぁまぁ、そんな大声出すな~」とたしなめます。
私は何故この場所に呼ばれているのかが理解できず、「なんのことですか?」と尋ねると、「家電商品がなくなっている」と教えられ、初めて自分が疑われていることを知り、愕然としました。
男二人のやりとりが「まるで刑事ドラマみたいだなぁ」と冷静に思う気持ちと、やってもいないことで疑われ腹立たしく思う気持ちが入り混じっていたことを思い出します。