ウニモグとは何者!? 世界中から支持を得るメルセデス・ベンツの多目的作業車はどこがすごいのか?

ウニモグとは何者か? 世界中から支持を得るメルセデス・ベンツの多目的作業車の歴史

 メルセデス・ベンツの「ウニモグ」は、第二次大戦終了後間もないドイツで農業機械として誕生。多様な作業機に対応する構造と優れた悪路走破性からたちまち広範な分野で人気を博した。

 オフセットハブ付きフルタイム4WDに多段トランスミッション、各種PTOや強力な油圧システムといった緻密なメカニズムを詰め込んだコンパクトな車体はまさに独創的なアイデアのかたまり。日本を含め、世界中で使われている万能作業車の成り立ちを紹介しよう!!

文/フルロード編集部 写真/フルロード編集部・メルセデス・ベンツ
*2012年6月発行「フルロード」第6号より

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■メルセデス・ベンツの多目的作業車 ウニモグの生い立ち

 世界的に有名な4WD多目的作業車の開発がスタートしたのは1946 年であった。UNIMOGは英語の"ユニバーサリー・アプリケーブル・モートライズド・インプルメント"を意味するドイツ語"Universal‐Motor‐Geräte"の略称である。

 ダイムラーの元航空エンジン設計者アルベルト・フリードリッヒ博士が発案した同車は当初農業用の多目的作業車を想定したもの(プロトタイプのトレッドは芋畑の畝2本分の幅から決められたという)だったが、1949年に正式発表されると農業用にとどまらず優れたオフロード走破性を備えた高機能トラクタとしてさまざまな方面で高い評価を獲得。

 当初生産を担当していた機械メーカー、ボーリンゲル社は1950年に約600台ものウニモグを作ることになった。


コンパクトな初代モデルのプロトタイプ。その独創的で高い走破性を備えた基本設計は今日まで受け継がれている

 そして翌51年にはゲッピンゲンのボーリンゲルからドイツ南西部バーデン・ヴッテムベルグ地方のガゲナウにあるダイムラー・ベンツ(当時)のトラック工場に生産を移管。

 これを機に当初の牛の頭を象ったエンブレムはスリー・ポインテッド・スターに置き換えられた。ボーリンゲル社での生産は終戦直後のメルセデス・ベンツが総輪駆動自動車の製造を許されていなかったためといわれる。

 ウニモグは前後車軸のハブ内部に大小一組のヘリカルギア機構を持つ。これは車軸のリダクション(減速)と入出力軸のオフセット構造(ドライブシャフト軸がキングピン軸よりも高いところにある)をもたらすもので、ロードクリアランスの大きい特徴的なポータル(門型)アクスルとしている。

 これに加えて前後同径の大径タイヤ、ロック機構付きのディファレンシャルを擁する四輪駆動システム、捩れに対する柔軟性を備えたフレームとサスペンション、優れた小回り性、車体前部の作業機取り付け用ブラケットプレートや後部のヒッチ、中央の積載スペースなどさまざまな作業機の装着への対応や機械式PTOの装備といった基本構成は初代から今も変わらず、高いオリジナリティを保っている(余談だがオフセットハブによるポータルアクスルは一部の総輪駆動車のほか低床化を求めるノンステップバスにも使われている)。

 初期型のキャブはオープントップに間に合わせの幌を被せただけだったが53年に発表された401/402シリーズではウェストファリア社製のクローズドボディも設定。僅か25PSだった初期型のOM636型ディーゼルエンジンの出力は56年には30PSに高められ、57年にはシンクロメッシュ付きのトランスミッションも登場するなど序々に快適性と性能を高めていった。

 いっぽう、軍用目的で2700mm(のちに2900mmに延長)のロングホイールベースと2.2リッター、82PS(のちに2.8リッター、110PS)のガソリンエンジンを持つウニモグS、404シリーズが55年に開発された。

 同車は(当時再組織された)ドイツ連邦軍などとともに民生向けにも販売され、オフロード走破性に優れたトラックとして80年の生産終了までに累計6万4千台余りという成功を収めることに。

 63年に入ると民生需要により広範に応えるモデルとして2380mmのホイールベースを持つ、オリジナルウニモグよりひと回り大きな中型シリーズとして406シリーズが登場。

 さらにその2年後には2900mmのロングホイールベースと5.7リッター、6気筒で80PS(のちに110PSに増強)の強力なOM352型ディーゼルエンジンを持つ416シリーズが投入された。これらは現行のUHE/UHN(高機動)シリーズのルーツといえよう。

 優れた悪路走破性能を備えた4WDトラック、あるいはコンパクトな重量物トラクタとしても人気を博したウニモグは、その後も当初のオリジナルウニモグと中型シリーズの間に小型シリーズ(421/403シリーズ)を展開するなどラインナップを拡充。

 74年には新世代の角ばったキャブを擁する大型の425シリーズが加わり、77年に累計生産台数20万台を達成した。

 なお、シリーズの展開拡大は高性能農業用トラクタ「MBトラック」(72年~91年)にまで及んだが販売不振により現在は休止されている。

 そして2002年には累計およそ32万台のウニモグを生産したガゲナウからメルセデス・ベンツトラックの新主力組み立て工場のヴェルトへ生産拠点を再び移管。

 高機動型の437系UHNシリーズ(U4000/U5000)と作業機装着に特化した405系UGNシリーズ(U300/U400/U500)、そしてUGNのコンパクト版であるU20の3モデルが生産された。

 現行型のウニモグは、2013年にヨーロッパの排出ガス規制、ユーロⅥ適合を目的に、150HP~350HPの新世代エンジン(5.1リッターのOM934/7.7リッターのOM936型エンジン)をともなってフェイスリフトが行われたもの。

 このモデルチェンジに合わせて高機動型はUHE、多目的作業型はUGEに改められ、最軽量モデルのU20はUGEシリーズに新設されたU200系に置き換わることになった。

 ただ市場(用途)によってはユーロVエンジンにも需要があるため、UHN系の販売は継続。UGEも一部の車型にユーロVエンジンを設定している。

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