岡山国際サーキットで新型スカニアに試乗してきました! その3

岡山国際サーキットで新型スカニアに試乗してきました! その3
動力性能だけではなく、キャブ内部のレポートもしましょう。前モデルのキャブから引き続きメーター周りやセンターコンソール付近に大きな変更は見られませんでした。これは、前モデルから乗り換えをするドライバーにとっては違和感がかなり小さいということです。
シートポジションやダッシュパネルの厚みを見直したためか、国産車のシートポジションと違和感のない視界が得られます。私はどちらかというと低めのシート座面に、かなり寝かし気味のステアリングポジションを好むのですが、スカニアのステアリングは乗用車並みに寝てくれるので好都合でした。
今回は安全対策として、コーナーアイカメラが設置されたことは報告しておかなければならないでしょう。フロントアンダーミラーの少し外側でキャブの角に装備され、ミラーでは個人差によって見えたり見えなかったりする部分を、外付けのカメラによってカバーしようというものです。キャブ内部の助手席上方の角に10インチサイズのモニターが設置されています。ミラーによる視界と被る部分はあるものの、不安材料を少しでも減らすスカニアの努力の賜物です。
居住性については、前モデルのG16ロールーフキャブとの比較ですが、新モデルではロールーフの設定がなく、ノーマルルーフとハイルーフのみの設定となります。このノーマルルーフが、国産車のハイルーフ並に室内高が高く、立って着替えをすることができます。ちなみに私は身長が170㎝ですから、ほとんどのドライバーの参考になると思われます。
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(写真提供 多賀まりお氏)
オーバーヘッド部の収納もかなり余裕があり、必要にして充分でしょう。そしてベッド部分ですが、前モデルでは跳ね上げ式の折りたたみベッドでしたが、新モデルのデイキャブでは固定式ベッドとなりました。実際にベッドに入ってみましたが、充分に広く快適です。
スリーパーキャブハイルーフでは、より広いベッドが装備されます。私が乗り込んだ最初の一言は「これほどの装備が必要なのか?」でした。本国では二段ベッド仕様も選べるそうですが、日本仕様では二段ベッドは採用されず、その代わりにその部分にも収納スペースを設置して、まるでホテルの一室のようです。長距離を走行し、家になかなか帰る機会のないドライバーにとって、オンとオフをしっかり切り替えるには最適な環境でしょう。
完成ウイング車として発売される今回のスカニアですが、荷台部分に関してはオプション設定を考えていないそうです。一通り荷台を観察させてもらいましたが、他社の完成車同様に最初から満足のいくものだと感じます。
ほとんどの参加者が経営者側であるなかで、私はドライバー側の視点として完成車を見ましたので細かい修正点はいくつか見つけ、それはその場でスカニアスタッフに伝えることができました。ディーラーからユーザーへ引き渡す際に、一切の追加注文が無くなれば、それはスカニア車が商品として道具として、そしてパートナーとして本当に完成されたものになるはずです。
デイキャブ車では9600㎜の荷室内法長が確保されており、国産車と同等、スリーパーキャブでは9350mmと短くなっていますが、それでも11×13規格のパレットは7列積むことができます。また荷室内法高は2600㎜を確保しており、これは国産の4軸低床エアサスウイング車に比べても50㎜くらいの差であり、4軸低床リーフサス車や冷蔵ウイング車よりも高さが確保できていますから、荷役性において不利になる要素は一切感じません。
標準で前後とも総輪フルエアサスペンション装備であり、エアサスの昇降能力は国産車とは比べ物になりません。リアを目一杯下げれば小型車プラットホームに接岸できますし、逆にフロントを目一杯下げてリアを目一杯上げますと海上コンテナの床よりも高くなります。これほどの装備があって、燃料タンクは500リッタータンクを抱えて、最大積載量が6モデル全車種で13tを確保できているのは素晴らしいです。
実際の試乗車にも10tのウエイトが積まれていましたが、運転席のモニターには各軸重や総重量が表示され、その数字は総重量22tでしたから、後3tの余裕があったのです。これはかなり大きいと思います。
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(写真提供 多賀まりお氏)

いろいろとレポートしましたが、カタログを見たらわかるということはあまり書いていません。あくまでもスカニアに実際に触れて、その上で感じたことを書いています。もちろん人によって受けた印象は違うでしょうし、特にトランスミッションなどは、ドライバーからしたら発進時の初期加速性能、経営者からすると故障の不安はついて回ると思います。ですが最低限の取り扱い方法やメンテナンスを疎かにすることがなければ、スカニアは大変魅力あるトラックだと思います。
スカニアジャパン社長のミケル・リンネル氏とも、大変有意義な話をすることができ、また記念撮影にも快く応じていただき感謝しかありません。トラック増車の機会がありましたら、是非ともスカニアを導入してスカニアジャパンと末永くお付き合いできることを願っております。
……おわり…… (桃園宮稀仁)
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