先日当サイトでお伝えした、いすゞ自動車とファミリーマート、伊藤忠商事、横浜市によるバッテリー交換式EVトラックを用いたコンビニ配送実証が、いよいよスタートした。2025年11月20日に行なわれた報道関係者向けの出発式から、あらためて同実証の中身と、実際の車両&交換ステーションをレポートする。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
横浜市内のファミリーマート約80店に商品を配送
いすゞは2024年10月にバッテリー交換ステーション「EVision Cycle Concept(ECC)」を藤沢工場内に設置し、開発中のバッテリー交換式「エルフEV」を用いた構内実証を行なっている。
今回の配送実証はそれに続くもので、横浜市内に実証ステーションを設置し、3台のバッテリー交換式エルフEVで市内のファミリーマート約80店への商品配送を行なうというもの。主な積荷はチルド食品で、運行頻度は1台あたり1日最大3便の予定だ。
24時間営業のコンビニへの商品配送は昼夜問わず行なわれており、車両には高い稼働率が求められる。配送トラックの電動化では、充電に伴うダウンタイムが課題となるが、バッテリー交換式エルフEVは2〜4個のバッテリーを4〜7分で交換できることから、有効な解決策として期待されている。
今回の配送実証では、実際の配送オペレーションにバッテリー交換式エルフEVを投入し、その有効性を検証する。工場構内と異なり、渋滞や通行制限などめまぐるしく交通環境が変化する一般道での運用を通じ、車両側、設備側の課題などを検証し、実用化に向けた開発を加速させる狙いだ。
なお各社の役割は、いすゞが交換ステーションと車両の開発・設置・管理、実証プロジェクト管理、事業性や脱炭素効果の検証、ファミリーマートがフィールドデータの提供、伊藤忠商事がプロジェクト管理、脱炭素効果の検証支援をそれぞれ担当。横浜市も用地提供や関係法令に関する調整などで協力する。
実施期間は最大2年の予定。車両の運行は、名糖運輸の子会社でコンビニ向けチルド食品配送を手がけるジャステムが行なう。
配送実証に用いられる車両&実証ステーション
実証車両は車両総重量7.5トン級/最大積載量2.95トン級のNPR系ワイドキャブ/ロングボディ(軸距3395mm)がベースで、日本フルハーフ製冷凍バンボディに菱重製電動冷凍機「TEJ35AM」を搭載。最大積載量は2800kgで、ディーゼル車比マイナス約200kgとなるが、実務には影響ないという。
駆動用バッテリーパックは1個あたりの容量22.3kWhの交換式タイプを左右ホイールーベース間に合計4個搭載(89.2kWh)。航続距離は不明だが、1便あたり最大100kmほどになるという業務は充分カバーできるそうだ。
バッテリー交換は横浜市港北区の横浜アリーナ付近に設置された実証ステーションで行なう。基本構成は藤沢工場のそれと同じで、中央に車両停止位置補正装置、その左右に交換装置とバッテリーを収めた20フィートコンテナを1個ずつ並べる。交換は全自動。所要時間は4個で約7分だ。
コンテナ内のバッテリーの充電は200V普通充電され、個々の充電状態は運行中の車両も含めてクラウドで管理される。充電は、藤沢工場が1個ずつだったのに対し、実証ステーションは複数台の運用に対応するため7台同時充電可能に。出力も上げているそうで、今後の運行を通じて検証するという。
なお、バッテリー充電用の電気は横浜市が提供するバイオマス発電由来の「はまっこ電気」を活用。コンテナ天井部にも補助的な太陽光発電パネル(発電容量5.5kW)が備わる。
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