塵芥車も資源回収車も100%電気で動かす! いすゞがNEW環境展で提案したEVトラックベースの「完全電動特装車」に迫る!

塵芥車も資源回収車も100%電気で動かす! いすゞがNEW環境展で提案したEVトラックベースの「完全電動特装車」に迫る!

 塵芥車(ごみ収集車)など環境系特装車の展示も多い「2025NEW環境展(5月28日〜30日)」に、いすゞ自動車が初出展! 展示したのは2台のEV特装車だが、一体どんなクルマなのか? 全国でユーザーと一緒にはじめる「実証実験」の中身もレポートしたぞ!

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部

水冷式電動PTOで架装物の連続使用が可能なエルフEV塵芥車

エルフEV特装車向けシャシーをベースとするエルフEV塵芥車。ベースシャシーはハイキャブ/ホイールベース2490mm/高床のZAB-NMR48AMで最小回転半径は4.8m
エルフEV特装車向けシャシーをベースとするエルフEV塵芥車。ベースシャシーはハイキャブ/ホイールベース2490mm/高床のZAB-NMR48AMで最小回転半径は4.8m

 5月28日〜30日開催の2025NEW環境展。初出展のいすゞは2台のEV特装車を出品した。1台目はエルフEV塵芥車。小型トラック・エルフのEVモデル「エルフEV」のなかでも25年2月に追加設定された「特装車用シャシー」をベースとする完全電動の塵芥車(ごみ収集車)だ。

 シャシーとボディの仕様は昨年5月開催の「2024NEW環境展」の極東開発工業ブースに参考出品されていたプロトタイプとほぼ同じだが、今回は細部の仕様を煮詰め、カラーリングを一新するなどした市販モデルの記念すべき工場出荷1号車となる。

 ベースとなる特装車向けシャシー(塵芥車用)はハイキャブ/ホイールベース2500mm/高床の「ZAB-NMR48AM」で、展示車の車両寸法は全長5340mm×全幅1850mm×全高2290mm。モータースペックは最高出力204PS/最大トルク37.7kgmの一種類のみの設定だ。

 特装車向けシャシーの最大の特徴は、キャブ後方にディーゼル車と同じ油圧式の架装物を動かすことができる電動PTO(パワー・テイク・オフ=動力取り出し装置)を搭載する点。電動PTOは架装物の連続使用を考慮し、排熱性に優れる水冷式を採用している。

 ボディは極東開発工業の2〜3トン車向けプレス式・排出板押出式「プレスパック」のエルフEV専用モデル(GB40-220)。基本構造はディーゼル用と同じだが、冷却装置一体型の電動PTOユニットがキャブ後方にあるため荷箱容積はディーゼル用の4.4より0.4少ない4.0立方メートルとなる。

 駆動用バッテリーは走行のみならず架装物でも電力を消費することを考慮し、エルフEVのホイールベース2500mmシャシーでは最大となる66kWhを搭載。一充電あたりの航続距離は190km(国土交通省届出値)を確保しており、収集作業をしながらの走行にも余裕を持たせている。

 ブースでは実際に装置を稼働させる積み込みデモンストレーションも実施。間近で見てみたが、エンジン音がまったくしないので、会場内だとほとんど音が聞こえない。これなら深夜早朝の収集時の近隣への影響も少なそうだ。

AT限定普通免許で運転可能なエルフミオEV資源回収車

エルフミオEVをベースとするエルフミオEV資源回収車。ベースシャシーは標準キャブ/ホイールベース2500mm/フルフラットローのZAB-NHR48AFで最小回転半径4.4m
エルフミオEVをベースとするエルフミオEV資源回収車。ベースシャシーは標準キャブ/ホイールベース2500mm/フルフラットローのZAB-NHR48AFで最小回転半径4.4m

 もう1台のエルフミオEV資源回収車は、車両総重量3.5トン未満でAT限定普通免許に対応するエルフミオのEVモデル「エルフミオEV」をベースとする資源回収車。

 資源回収車とは、ペットボトルなどの資源ごみを回収するクルマのことで、多くの自治体で運用されているクルマである。

 積み荷が軽く嵩張るため、積載量がそこまで必要なく、普通免許しか持っていないドライバーが担当することが多い。また走行距離も少なく、EVとの親和性が高いことから、今回あえてエルフミオEVをベースとしてユーザーに提案したものだ。

 ベースシャシーは標準キャブ/フルフラットローの「ZAB-NHR48AF」で、最高出力122PS、最大トルク37.3kgm。バッテリー容量は44kWhで航続距離は115km(国土交通省届出値)である。

 3方開・2段開閉式のアルミブロック製アオリを備えるボディはいすゞ自動車首都圏(販売会社)のパートナー企業・シスコム製。車両寸法は全長4690mm×全幅1695mm×全高1960mmで、最大積載量は950kgを確保する。

次ページは : エルフEV塵芥車とエルフミオEV資源回収車を使ったいすゞの取り組み

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