1台のトラックを複数のドライバーで使い回すことを「乗り回し」といいます。でも、コレってトラックドライバーなら誰しも敬遠したいところ。
会社によっては乗り回しが当たり前というところもあると思いますが、やはり運転するトラックは自分専用であって欲しい……。そんな心情を2人のドライバーさんに聞いてみました。今日はベテランドライバーのDKさんの話です。
文/ベテランドライバーDKさん、写真/フルロード編集部
*2025年9月発行トラックマガジン「フルロード」第58号より
トラックの乗り回しの諸事情
トラックの乗り回しですか、そりゃあ嫌ですよ。しかし、これはもうやむを得ないことだろうと思います。少し前までのトラック運転手は、「24時間働けますか」の世界で、私自身も月に350時間以上、1万8000km以上走っていました。ほかの人に乗られるのが嫌で、そのために休みを取らないようにしていましたし、点検整備も工場までは自分で回送しました。
ドライバーが好む・好まざるにかかわらず、1車1担当で配車している会社は多いでしょう。配車を考える上ではそのほうが簡単です。しかしながら、働き方改革等々あり、1人のドライバーが稼働できる時間はかなり制約されてしまいます。
いっぽうでトラックの車両価格は年々高騰していますから、トラックという経営資源のモトを取るためには少しでも稼働率を上げなくてはならず、すなわち1台のトラックを複数人で稼働させることはやむを得ないと、納得せざるを得ません。
別の考え方もあります。私がかつて担当していた運行は、社内では私しか行ったことのない取引先で、他の人に代わってもらうことができない(と思われている)仕事でした。その状態が3年以上続きました。
しかし、一部で独特の検品などがあったものの、一度説明すれば他のドライバーでもできるはずで、さほど専門性が高い種類でもありませんでした。
いろんな種類の荷物、運行があるでしょうが、もしもある個人にしかできない仕事というものがあれば、それは荷主企業にとっても運送会社にとってもかなり危ういと断言できます。ちなみに私がその運送会社を退職したので、その仕事は他の人に引き継がれることはありませんでした。
今の勤務先は、緑ナンバーではあるものの、お客さんの荷物を運ぶことはほとんどありません。トラックは自社の資機材を運ぶためだけに使用しているので、月に5日も稼働しないトラックさえありますし、私自身も2025年7月はUDとVOLVOで1日ずつ日帰り運行したのみです。
乗り回しの際の面倒くさいこと
トラックを複数人で共有するうえで、一番面倒なことは手荷物が増えることです。近場で日帰りの運行なら、ヘルメットと手袋だけの場合もあります。雨が予想されれば合羽や長靴が必要です。
長距離で何日もとなれば、着替えはもちろん、毛布や枕、お風呂セット等どうしても大荷物になります。それらを自宅でかき集めて、会社でかき集めて、支度して未明に出発することもあるので大変です。そして、やっぱりかならず何かしら忘れ物があります。
積み込み運行、荷降ろしを別の人が担当するとなれば、それも少し問題です。同じ荷物を積むにしても、積み込み位置や荷姿、締め具の選定は個人差があります。良くも悪くも責任の所在があやふやになります。
他人が積んでくれた荷物は、どうしても不安でもあります。トラックが共用となれば、トラックに常備している荷締機等々も共用となるので、どうしても管理がおざなりになりがちです。個人で管理している便利な資機材は使えないこともあります。
トラックの内外の美化・管理の面でも問題はあります。共用のトラックを洗車しようという人は稀です。整備もドライバーが主体的に、計画的に実施することはむずかしいです。車内もきれいに保って乗ってくれる人ばかりではありません。特に、たばこ関係は嫌な思いをすることが多いです。可能なかぎり、喫煙車と禁煙車は完全に分けてほしいです。車内を汚す人は喫煙者に多いと感じるのは、私だけではないはずです。
ごくたまに複数日にまたがる運行をすることもあります。ちょっとした引越のように私物を積んで、だんだんとそれを具合の良い位置に配置して、時間にゆとりがあれば洗車したりもして、1日運行するたびに愛着もわいてきます。そんな時に、やっぱり私はトラックが好きなんだったと思い出します。
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