「短い航続距離」「長い充電時間」「ディーゼル車より少ない積載量」といったEVトラックの課題を解決すべく、いすゞ自動車はバッテリー交換ソリューションの開発を進めている。
同社は2024年10月にバッテリー交換ステーション「EVision Cycle Concept(ECC)」を藤沢工場内に設置し、エルフEVとは別に開発してきたエルフ・バッテリー交換EVを用いた構内実証を重ねてきたが、このほどファミリーマートの配送業務で公道実証を開始すると発表した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部・いすゞ自動車
実証実験の概要
いすゞ自動車はファミリーマート、伊藤忠商事とともに、国内初となる車両の左右両側から駆動用バッテリーを同時交換できるバッテリー交換ステーション(ECC)と、これに対応したエルフ・バッテリー交換EVをファミリーマートの商品配送業務に活用する実証実験を、2025年11月より横浜市内で開始する。
24時間営業のコンビニエンスストアへの配送は昼夜問わず連続して行なわれる。こうした業種では車両の高い稼働率が求められ、配送用トラックの電動化においては充電に伴うダウンタイムが大きな課題となっている。
いっぽう、ECCはエルフ・バッテリー交換式EVが搭載する2基または4基の高電圧バッテリーパックを全自動で交換可能。所要時間は2基交換で約4分、4基交換でも約7分半と短時間で完了できるため、有効な解決策として期待されている。
今回の実証では、エルフ・バッテリー交換式EVを3台配備し、横浜市内のファミリーマート約80店舗にてルート配送を実施する。
いすゞは交換ステーションと車両の開発・設置・管理、実証プロジェクト管理、事業性や脱炭素効果の検証を担当。またファミリーマートはフィールドデータを提供し、親会社である伊藤忠商事はプロジェクト管理や脱炭素効果の検証を支援する。横浜市も実証用地や関係法令に関する調整などで協力する。
EVision Cycle Conceptの特徴
バッテリー交換方式のEVトラックは三菱ふそうも実証を進めているが、同社のeキャンターの場合は、フレーム吊り下げ式でバッテリーパックが搭載されているため、バッテリー交換ステーション(米・アンプル社製)では車両の下からバッテリーを差し替える方式を採用。
いっぽう、エルフ・バッテリー交換式EVは、ホイールベース間に容量20kWhのバッテリーパックを搭載。ECCでは交換装置と保管庫を収めた20ftコンテナが車両を挟むカタチで配置され、両側から同時にバッテリーを自動交換できる。
交換時は、シャシー側に貼付したQRコードを設備側カメラで位置を確認。Bluetooth通信で同期し、シャシー側からバッテリーパックを載せたブラケットと交換装置のフォークを左右同時に伸ばして脱着作業を実行する。
なお、保管されているバッテリーパックは、電気料金を抑えるため200V普通充電で充電。フル充電後は交換用バッテリーとして再び利用するという流れだ。
【画像ギャラリー】いすゞのバッテリー交換ソリューションをギャラリーでチェック!(9枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方1ナンバーだと、サイドバンパーの脱着(?)が必要になりそう