能登半島地震の支援体制と道路事情を検証! 現役トラックドライバーが現地調査を実施

被災後の道路状況

 道路は、半島のほぼ全域でひび割れや路面崩落、市街地ではマンホールの突出などで寸断された。それに加え、倒壊した家屋が道路を塞いでいた。

 特に当初は、「田鶴浜から先は一般車では行けない」とまで言われた(田鶴浜から珠洲市中心部までで約70㎞もある)。しかし、道路の啓開は早かった。地元土木業者や自衛隊により、段差の穴埋めや、迂回路の仮設が為された。国土交通省によると、1月4日には奥能登2市2町までの大型自動車の通路が確保されている。

 能登半島を縦断する自動車専用道路には、「能越自動車道」と「のと里山海道」の2つがある。両者は七尾市付近から北では合流し、県管理の「のと里山海道」となり、穴水から先で再び「能越道」となる。

 当初は双方とも全線にわたり通行止めになったが、仮補修により部分開通し、一方通行や緊急自動車専用で運用された。ただ、七尾—穴水間の区間は通行止めが続いたため、並行する国道249号が奥能登地方への唯一の道路となり、主に警察や消防、復旧工事関係の車両で渋滞した。

七尾〜穴水間の国道249号は奥能登への唯一のルートとなるため、渋滞が発生していた(七尾市中島町)
七尾〜穴水間の国道249号は奥能登への唯一のルートとなるため、渋滞が発生していた(七尾市中島町)

 水道が出ないため、半島内での宿営がむずかしいこともある。もともと複数の道路ネットワークがあったものの、地震で破壊され、半島であるが故の交通に不利な側面が出た形となった。

 穴水から先は、輪島市、珠洲市までは「輪島道路」と「珠洲道路」の主要幹線道路がある。もともと整備されていて、快適に走れる幅員の広い道路だった。

 ところが、路面の陥没などで、片側交互通行にしなければならないような箇所が多かったため、穴水—のと里山空港間にある2つのルートを使って、菱形に回る時計回りの一方通行運用、ループ路にした。この運用は、交通の流れを円滑にし、事故を防ぐこともできたと思う。

 半島内で暫く運転していると段差に慣れっこになってしまい、帰って来てからも道路の色が変わっている箇所などで必要以上に用心深くなり、速度を落としてしまう。仮補修がされているとは言え、それほど道路の損傷が激しかった。また、1~2月に数度の大雪が降り、復旧活動を妨げた。

息の長い支援が必要

 能登半島の被災地で、さまざまな芸能人や芸能事務所が炊き出しを行なった。ネットでは賛否両論がある。「売名行為」だとか、「急に行ったら、調整などで現地の負担になる」など。

 ネット社会とは、どんなことでもアンチが現れるし、ある論調に流されて皆が信じてしまうという危険性もある。しかし、そんなことより、炊き出しに来てくれたら純粋に心の励みになるのではないだろうか。

 最も注目を浴びたのは金沢市の1.5次避難所で炊き出しを行なった俳優の杉良太郎さんだろう。杉さんはこれまでも災害があるたびに福祉活動を行なってきた。「売名行為では?」との声に、「ええ、売名行為ですよ。皆さんもおやりになるといい。」と答えたという。重要なのは被災地に皆の関心が向かうことではないだろうか。

七尾市の道の駅には「皆んなで支えよう能登半島」の横断幕。七尾市は奥能登への入口にあり能登復興の拠点となる街だが、断水に悩まされた
七尾市の道の駅には「皆んなで支えよう能登半島」の横断幕。七尾市は奥能登への入口にあり能登復興の拠点となる街だが、断水に悩まされた

 いま、発災から数カ月が経とうとし、世間の関心もだんだん少なくなりつつある。能登半島は、半島であるが故に行きにくく、大勢で一気に復旧活動をするここともできない。

 いまだ、壊れた街が手つかずのところが多いという。県が派遣で来ている公的ボランティアの数も、過去の災害に比べて圧倒的に少ないという。

 能登に行ってみてわかったのだが、能登は風光明媚で非常に魅力的な場所である。皆が長い目で復興に関心を持つことが重要だと考える。

【画像ギャラリー】能登半島地震発生から約3週間後に見た物流と道路への影響(8枚)画像ギャラリー

最新号

【特集】誌上開催!! ジャパントラックショー2024 フルロードvol.53 本日(6/10)発売!!

【特集】誌上開催!! ジャパントラックショー2024 フルロードvol.53 本日(6/10)発売!!

自動車雑誌ナンバーワンの「ベストカー」が自信をもってお送りする本格派のトラックマガジン!! 5月9日…