ユニークな超低床FFシャシーの仕組みとは? 日野デュトロZ EVの車体構造の謎に迫る!!

画期的なフレームレイアウト

大幅な低床化が図られた前軸以降のフレーム。サイドレールは組幅を車幅一杯まで広げており、その内側にバッテリーを搭載する
大幅な低床化が図られた前軸以降のフレーム。サイドレールは組幅を車幅一杯まで広げており、その内側にバッテリーを搭載する

 前軸以降のフレームは低床化が図られ、このクラスでは画期的な450〜400mm(空車〜積載時)の床面地上高をもたらした。

 ホイールベース間のサイドレールは組幅を車幅一杯に広げて内側に40kWh容量のリチウムイオンバッテリーユニットを搭載。ユニットの厚みは約170mmと薄く、地上からの取り付けブラケットまでの最低地上高は約150mmを確保している。

 後軸部のフレーム組幅は750mmで、サイドレール下側にIビームをリーフスプリングで吊るシンプルな後軸サスを擁する。Iビームは車軸の中心から下側にオフセットした、いわゆるポータルアクスルで、サイドレールをキックアップさせることなく成立させている。

 タイヤは外径が約600mmと小さい195/65R16サイズを総輪に履く。駆動系を前軸部に集中させた車体構造だけにホイールベース違いやフレーム高違いなどへの対応も比較的容易なはずで、今後のモジュール展開が楽しみだ。

ラバーシールで繋がれたキャブと荷台

キャブフロア後端部と荷台床面の段差は約200mm
キャブフロア後端部と荷台床面の段差は約200mm

 キャブ骨格はフロアパネルと樹脂製のルーフパネル以外は従来車と共通。デュトロ/ダイナのキャブチルト機構を持たない仕様と同じく前後4箇所でゴムブッシュを介してマウントされる。

 いっぽうの荷台はフレーム上に縦根太/横根太を配し、その上にアピトン製の床板を張っている。

 荷箱の側面と上面はスチレンフォームをアルミ板で挟んだサンドイッチパネル製。ラバーマウントのキャブ側とは振動の仕方が異なるため締結はできず、開口部を水密性を保つラバーシールで囲っている。

 パネルの厚みはスライドドアの備わらない側面と天井が30mm、スライドドアのあるほうの側面は強度確保の関係で50mm。中間部に骨格を持たないため、リベットによるラッシングレールの取り付けは難しいようだ。

 デュトロZ EVのウォークスルーバンはGVW3.5トンの電動車として1000kgの最大積載量を確保した。これはシャシーの強度とともに動力性能や航続距離を3.5トン級の宅配用と割り切り、軽量化を追求した結果だと思う。

 今後市場に出揃うであろうGVW3.5トン級小型トラックの先鞭をつけたモデルとして興味深い存在だ。

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