さまざまなトラックボディを紹介する「働くクルマの大図鑑」。今回は「クルマを運ぶクルマ」として身近な存在である「一台積み車両運搬車」に迫ります。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/極東開発工業、タダノ、花見台自動車、古河ユニック、「フルロード」編集部
※2023年9月発売「フルロード」第50号より
幅広い業種で使われるスライド荷台式車載車
一台積み車両運搬車(以下、車載車)は、小型トラックの上モノとしては、大体6〜7番目に多い架装形態である。
日本自動車車体工業会の統計によると、近年の車載車生産台数は年間2500〜2900台ほどで推移しており、ほとんどが「スライド荷台式」と言われている。
車載車は、新車/中古車の輸送や、故障車/事故車の搬送で用いられており、ユーザーは自動車/建機/農機などの販売業、整備業/鈑金業、ロードサービス業(レッカー業)、運送業、レンタル業と幅広い。
自動車などを運ぶには、2トン以上の積載量が求められるため、小型トラックベースと言えども、その車格はGVW(車両総重量)7.5トンクラスが中心で、中型GVW8トン車ベースも珍しくない。
近年は、乗用車のサイズ拡大や電動化(重量アップ)に対応して、中型ベース車が漸増している。
知恵を尽くした油圧駆動式スライド機構
車載車の見た目は、トラックに平床の荷台が載っているだけだが、そこには知恵を尽くした油圧駆動式スライド機構が搭載されている。
スライド荷台は、概ね傾斜角12度級、8度級、5度級、および0〜3度級の荷台接地型に分類できる。
特に5度未満の超ローアングルは、海外メーカーに対して10〜30年も早く実用化しており、日本の車載車メーカーの機構技術は、間違いなくダントツで高いレベルにある。
ユーザーの業務や地域特性によって、荷台やフロア、道板の仕様が異なることが多く、大抵はオプション装着車あるいは特注車で、ウインチや灯火器といった艤装品も、メーカーオプションでさまざまなタイプが用意されている。
例えばディーラーの搬送用は比較的シンプルな仕様と言われているが、ロードサービス業では、特注荷台に加えてクレーンを架装、さらに作業工具、固縛用品の収納庫を二次架装するなど、かなり凝った仕様の車載車が使われている。※詳細なメカ解説は本誌「フルロード」第50号で!!
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