国産初のFFトラックに触れる
いすゞ自動車の藤沢工場にて行なわれた、メディア向けのヒストリックカー撮影会。用意されたクルマは、商用車も乗用車も手がけるいすゞらしい顔ぶれ。おそらくマニアなら涎で水たまりができるレベルだろう。登場したのは今年のモーターショーに出品されたウーズレーCP型トラックをはじめ、117クーペやエルフマイパックなど名車ばかり。歴史的なヒストリックカー(個人的には特に70年代)が一台走るたび、我々のテンションはあがっていくのだった。
このなかで注目したいのが国産初のFFトラックであるというエルフマイパック。1972年に登場した二代目エルフの派生車種あるいは兄弟車といった位置づけのトラックである。何かとおもしろいクルマだと噂には聞いていたが、なかなか実物を見る機会がなく、このたび記念すべき初対面となった。FFトラックといえば、日野が最近開発し話題となった超低床EVトラック(本誌第9号で特集)が記憶に新しいが、これと似たコンセプトのトラックが40年前に存在していたことにまず驚かされる。荷役の多い小型トラックにとって、その省力化がもたらされる荷台の底床化は永遠のテーマだ。エルフマイパックはFF方式を採用することで架装性を向上させ、それを最初に可能にしたトラックだった。また特装用途でも重宝されたという。生産自体は短期的なものに終わってしまったが、その先を行き過ぎた画期的なコンセプトは、いまこそ見直されるべきかもしれない。
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