EVトレーラで北極へ!? ダイムラー「eアクトロス600」が初めて真冬の北極圏に到達!

EVトレーラで北極へ!? ダイムラー「eアクトロス600」が初めて真冬の北極圏に到達!

 欧州で毎年行なわれている電気自動車で真冬の北極圏を目指すレースに、今年はセミトレーラをけん引するBEVトラックが参戦した。

 氷点下40度の雪道は人とトラックの双方にとって極限の環境だが、車両運搬トレーラを連結するメルセデス・ベンツのeアクトロス600が難関ルートを無事に完走し、セミトレーラ連結BEVトラックとして初めて冬の北極を制覇した。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG・Eberhard Droege & VEGA

eアクトロス600が「eノールカップ・チャレンジ」に成功

EVトレーラで北極へ!? ダイムラー「eアクトロス600」が初めて真冬の北極圏に到達!
eノールカップチャレンジ2025で北極圏に挑んだeアクトロス600

 欧州がホリデーシーズンに入る頃に動き出すレースがある。電気自動車で真冬の北極圏を目指す「eノールカップ・チャレンジ」だ。

 2018年から行なわれている約3500kmの冒険レースに、今年(eNordkappChallenge2025)はセミトレーラをけん引するメルセデス・ベンツの長距離バッテリーEV(BEV)トラック「eアクトロス600」が参加した。

 ノルウェー北部のノールカップは自動車で到達可能な欧州本土の最北端に当たる。ドイツからノールカップまで10日間にわたる遠征は、氷点下41度という厳しい自然環境の中で行なわれ、寒さに弱いというイメージが根強く残るBEVの性能・堅牢性を実証する機会となっている。

 セミトレーラを連結したeアクトロス600は、ドイツ北部からデンマークとスウェーデンを経由して北極圏に至る難関ルートを無事に完走し、チャレンジに成功した。

EVトレーラで北極へ!? ダイムラー「eアクトロス600」が初めて真冬の北極圏に到達!
挑戦したのはオーストリアの運送会社ベガ・インターナショナルに所属するサレンティニグ夫妻だ

 今回、eアクトロス600で北極への挑戦に挑んだのはオーストリアの物流会社ベガ・インターナショナル・カートランスポートのヘルベルト&シルビア・サレンティニグ夫妻だ。

 ベガは自動車の運搬では欧州大手となる運送会社で、会社はeアクトロス600と共に、メルセデス・ベンツの「スプリンター」バンを積載した車両運搬トレーラを提供した。同社が日常業務で使っている連結総重量32.5トンの組み合わせだが、北極圏の凍結路を走るには最も「相応しくない」車両である。

 特別な旅に出発するにあたり、車両には特に変更を加えなかったが、唯一タイヤのみ、過酷な気象条件に対応できる特殊な仕様に交換した。

 充電ケーブルが短すぎたり、充電ステーションのカードリーダーが凍結していたりといったトラブルはあったが、チームが立ち止まることはなかった。ヘルベルト氏は欧州最北に到達した際、「eアクトロス600は本当に働き者です。最も過酷な状況でも信頼できます」と話している。

実用的でない組み合わせで「迷信」を破る

EVトレーラで北極へ!? ダイムラー「eアクトロス600」が初めて真冬の北極圏に到達!
電気自動車で北極圏を目指すeノールカップチャレンジは毎年行われている

 eノールカップチャレンジをBEV大型トラックが完走するのは初めてではなく、2023年にルノー「EテックDワイド」などが挑戦に成功している。ただ、セミトレーラをけん引した状態での成功は始めてだ。

 トレーラをけん引する大型トラクタは雪道に弱い乗り物とされる。しかも小径のダブルタイヤを装着する車両運搬トレーラは雪の抵抗が大きく(欧州の一般的な3軸トレーラはシングルタイヤ)、積載状態では重心位置も高くなるため凍結路での運転が難しい。

 最も実用的でない組み合わせで北極圏に到達することでその実用性を証明し、「BEVには無理」とは言えなくなった。

 ダイムラーは2024年末からeアクトロス600の量産を開始している。「メルセデス・ベンツ」ブランドの電動フラッグシップトラックである同車は、メーカーによるテストツアーでも北極圏に到達している。

EVトレーラで北極へ!? ダイムラー「eアクトロス600」が初めて真冬の北極圏に到達!
EV先進国のノルウェーでも大型トラックの充電には苦労するという

 ベガの発表によると、今回の挑戦での平均電費(100km当たりの使用電力)は195kWhだった。特に最後の34kmは最大9%の勾配や、完全に凍結した路面と雪、日中でも太陽が昇らない極夜、そして極寒など、人とマシンの双方にとって過酷な条件だった。

 また、電動化では欧州でも最先端を行くノルウェーだが、一部の充電ステーションは大型トラックでの利用が困難で、セミトレーラをBEVトラックで運用するには組織的で柔軟な対応が求められるという。

 こうした経験はBEVトラックの実用化を進めて行く上でも貴重な知見となりそうだ。

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