国内初の燃料電池大型トラック「日野プロフィアZ FCV」に搭載！　デンソーが開発した電動車向け「バッテリー温調モジュール」とは？

　デンソーが国内初となる「バッテリー温調モジュール」を開発したと発表した。国内初の燃料電池大型トラック「日野プロフィアZ FCV」に搭載されている同製品とは、一体どんなものなのか？

文／トラックマガジン「フルロード」編集部、写真／デンソー、フルロード編集部

バッテリーの温度管理に必要な機能をモジュール化

　デンソーは2025年12月18日、電気や燃料電池で走行する電動大型トラックの駆動用バッテリーの温度管理を担う国内初の製品「バッテリー温調モジュール」を開発したと発表した。

　同製品は、同年10月24日発売の燃料電池大型トラック「日野プロフィアZ FCV」に採用されているという。

　電動大型トラックの駆動用バッテリーは高出力で使用されるため、高い冷却性能が必要。また、過酷な運行条件下でも安定して走行性能を維持し、かつバッテリー寿命も延ばすためには、温度管理も重要となる。

　そこで同社では、自動車向けカーエアコンの開発で培った高効率・高性能・小型化技術を活かし、サイズあたりの冷却性能で業界トップレベルを誇るバッテリー温度制御システムを開発した。

　今回開発した「バッテリー温調モジュール」は、バッテリーに冷温水を供給し、バッテリー内部の温度制御を行なうもの。バッテリーの温度制御に必要な複数の機能をモジュール化し、車両の空調システムから独立させて動作させることで、最適な温度制御を実現する。

走行環境やシーンに応じて2つの冷却モードを切り替え

　バッテリー温調モジュールは、冷媒を用いて熱を移動させる「ヒートポンプサイクル」、熱を外気に放出して温調水を冷却する「ラジエター」、「ヒーター」「ポンプ」などバッテリーの温度制御に必要な機能を、空調システムとは切り離してモジュール下したもの。

　外気温度や冷却水の温度に応じ、ヒートポンプサイクルとラジエターを切り替える2つの冷却モードを搭載し、走行環境／シーンに応じた最適な温度制御（ラジエターは外気を活用して省エネ冷却を、ヒートポンプは高負荷時の放熱に対応）を実現。状況に応じた冷却を行なうことで、不要なエネルギー消費を抑制する。

　ヒートポンプサイクルを使用する場面では、同社独自の高効率設計により、市場に流通する同等の冷却能力を持つバッテリー温調モジュールと比較して20%以上高いCOP（エネルギー効率を示す成績係数）を実現する。

　また、ヒートポンプサイクル開発で培った高い放熱性能を持つ熱交換器などを活用することでコンパクトな設計を実現。車両の実用性を支える高性能技術を省スペースで提供可能としている。