堅牢・パワフル・純電動! ダイムラーが特装用のBEVトラック「eアロクス」を正式発表!!

堅牢・パワフル・純電動! ダイムラーが特装用のBEVトラック「eアロクス」を正式発表!!

 ダイムラー・トラックグループのメルセデス・ベンツ・トラックスは建設・特装用の大型バッテリーEVトラック「eアロクス400」を正式に発表した。ミキサーやダンプなどの架装に適したリジッド車で、欧州では2026年に発売する。

 電気駆動により走行中にCO2を排出しないが、車軸にはディーゼル車と同じ実績のあるアクスルを採用し、地上高など建設現場で必要とされる性能を確保した。低騒音という特徴も都市部では歓迎されそうだ。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG

ベンツが電動の「eアロクス400」を正式発表

堅牢・パワフル・純電動! ダイムラーが特装用のBEVトラック「eアロクス」を正式発表!!
「アロクス」シリーズで初めてのバッテリーEV「eアロクス400」

 オフロードでもオンロードでも、条件の厳しい現場環境において堅牢でパワフル、そして効率的。メルセデス・ベンツ・トラックスの「アロクス」はこうした要件を満たすための建設・特装向けトラックだ。

 このたびアロクスシリーズはCO2を排出せず騒音が少ないという、新たな「属性」を手に入れた。

 このシリーズで初めてのバッテリーEV(BEV)バージョン「eアロクス400」は先にティーザー画像が公開されていたが、2025年4月7日、ミュンヘンで開幕した建設機械の見本市「バウマ2025」で世界初公開となり、正式発表された。

 EU圏の一部の市場向けに当初は年間150台という小規模なシリーズ生産を予定している。最初は8×4構成(4軸4輪駆動)で、ホイールベースの異なる車両総重量(GVW)32トン及び41トンのバリエーションを提供する(4種類)。用途としてはコンクリートミキサ車や建設用ダンプなど、主に公道を使った建築資材の輸送に適した車両だ。

 BEVなので当然ながら欧州の都市部に設けられている「低排出ゾーン」や「ゼロ排出ゾーン」にも侵入することができる。こうした都市中心部のほか、住宅地、病院、学校、幼稚園、夜間に作業を行なう建設現場など、騒音に敏感な環境でも重宝されそうだ。

 2026年第1四半期に販売を開始し、同第3四半期に最初の納車を行なうことにしている。

パワフルな電気駆動と充分な航続距離

堅牢・パワフル・純電動! ダイムラーが特装用のBEVトラック「eアロクス」を正式発表!!
eアロクス400はバウマ2025で世界初公開された

 新型車となる「eアロクス400」だが、その開発には同社の長距離輸送用大型BEVトラック「eアクトロス600」の主要コンポーネントが活かされている。

 例えばフロントボックス(従来車のエンジンコンパートメントに収めるべく電気系のパーツをまとめたもの)やPTO(パワーテイクオフ:駆動系からボディ用の動力を取り出す装置)、リン酸鉄リチウムイオン(LFP)技術を採用するバッテリーパックなどだ。

 バッテリーのエネルギー密度は現状では軽油に及ばないものの、電気駆動はエネルギーの変換効率に優れ、eアロクス400は同クラスのディーゼル車より少なくとも50%はエネルギーを有効に活用できるという。

 駆動用の電圧は800ボルトで、キャブの後ろに合計414kWh容量のバッテリーパック2つを格納する「バッテリータワー」がある。航続距離は重量や架装物によって異なるが、GVW32トンのコンクリートミキサ車の場合、最大200kmを途中充電なしで走行できる。

 メルセデス・ベンツ・トラックスによると同社のミキサ車の顧客は、ほぼ舗装路のみを単一シフトで運行しており、1日の平均走行距離が100km未満だという。したがってこうした「通常の」用途は、eアロクス400による電動化が可能になる。

 同じくGVW32トンのダンプの場合、ボディ側のエネルギー消費が少ないため航続距離は240kmとなるそうだ。

 充電は車両の両側に取り付けられたCCS2充電ソケットにより、最大400kWでの充電に対応する。バッテリーパック2つ分の20-80%充電に約45分かかる。

 同社は「eアクトロス600」などで駆動軸にモーター・トランスミッションを組み込んだ「eアクスル」方式を採用しているが、eアロクス400の駆動方式は中央のモーターがシャフトを介して後軸を駆動するセントラルドライブとなる。

 このパワートレーンの大きな利点の一つは、実績のあるディーゼル版アロクスのプラネタリーアクスル(タンデム駆動軸)をそのまま使えることで、これにより建設現場で必要とされる地上高とオフロード能力は従来車と変わらないことが保証されている。

 3段のトランスミッションと組み合わされる電動モーターは、連続出力380kW(約510hp)、ピーク出力450kW(約600hp)と強力だ。

 また、同社は建設用トラックの最優先事項は安全としており、ダイムラー自慢の先進安全装備がeアロクス400にも搭載され、EUの新GSR(一般安全規則)に対応するとともに、その範囲を超える安全性を提供する。

 内外装は主に公道を走行する建設用トラック向けに調整され、例えばタンデム駆動軸や頑丈なフレーム、フロント/リアのサスペンション、コーナーの3分割バンパー、ヘッドランプ用ストーンガード、折り畳み式のアンダーライドガードなどに、それがはっきりと表現されている。

 ボディ側に関しては、バウマでリープヘル製のHTM905軽量ミキサーを架装したコンクリートミキサ車を展示した。これはディーゼル車にも搭載される油圧ミキサーで、油圧ポンプによって駆動する。eアロクス400では、バッテリーからエネルギーを取り出し、PTOが電気エネルギーから油圧を作り出している。

 もちろん、車両のバッテリーからエネルギーを取り出す電動ミキサーを架装することも可能だが、BEVでも従来のボディを使えるのは顧客にとっては大きなメリットとなる。

【画像ギャラリー】世界初公開の「eアロクス400」を画像でチェック!(3枚)画像ギャラリー

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