世界中のさまざまな特装車を紹介する「世界の特装車」。今回は本誌で紹介した「見た目だけでは何をするクルマなのかよくわからない特装車」から、おもしろいクルマをいくつかピックアップして紹介しよう。
文/緒方五郎(商用車ライター)
写真/各メーカー
※2019年9月発売「フルロード」第34号より
ロシアの湿地用トラッククレーン
巨大なバルーンタイヤが印象的なコチラはロシアの湿地用トラッククレーン。上モノはチェリャビンスク機械工場(CMZ)社の32トン吊トラッククレーン「KS-55733B」である。
ベース車両は詳細不明だが、ダカールラリーの強豪として名を馳せるカマ自動車工場(KaMAZ)社の大型総輪駆動トラック「KAMAZ-6560」系の4軸8×8シャシーと見られる。湿地/泥濘地の多いロシアならではのトラッククレーンだ。
欧州の強力吸引車
メルセデス・ベンツの特装系大型トラック「アロクス3253L 8×4」をベースとするこのスタイリッシュなトラックは、強力な真空ポンプを使って地下工事で排出される土や岩、レンガを吸い上げる強力吸引車だ。
上モノはドイツのレシュヴィッツァー・ザウドバガー・プロダクティオン(RSP)社の「ESE8RD8000」というモデルで、最高回転数4100rpmの特殊強力ファン×2基により、吸引圧0.45バール、吸引循環量44000立方メートル/hの性能を発揮する。
頑丈なバキュームホースは油圧可動式で、排出物を一時的に貯留するホッパは容積8立方メートルで、サイドダンプ機能も備わる。
なお、アロクスの後3軸8×4駆動シャシーは最後軸が操舵機能付きとなっており、車両総重量32トン級のヘヴィ級単車シャシーではあるが、優れた小回り性能を誇る。
欧州の回転ドラム式塵芥車
メルセデス・ベンツの特装用低床トラック「エコニック」の天然ガス仕様車をベースとするコチラは回転ドラム式の塵芥車(ゴミ収集車)。
茶筒のような回転ドラムが印象的な上モノはドイツのファウン・ウンベルトテヒニク社の代表作「ロトプレス」で、作動時はドラムがぐるぐる回る様子が外から見える。
投入口に備わる装置は、カート型ゴミ箱を持ち上げ、塵芥装置のホッパー内にゴミを投げ込む油圧リフター。ドライバーがゴミ箱に触れることなく収集作業ができる、衛生的かつ省力的な塵芥車なのだ。
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