ボルボ・トラックスは建設機械のプツマイスターと共同で開発した純電動コンクリートポンプ車を公開した。BEVトラックにマウントするコンクリートポンプとしては世界最大級だという。
これによりコンクリートの輸送(BEVトラック)から、撹拌(BEVミキサ車)、打設(BEVコンクリートポンプ車)まで、建設現場のオペレーション全体を電動化することが可能になる。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/AB Volvo
ボルボとプツマイスターが世界最大級のBEVコンクリートポンプ車を公開
建設業界でも車両の電動化が進むなか。ボルボトラックスとプツマイスターは2025年4月7日、バッテリーEV(BEV)トラックに架装した大型コンクリートポンプ車をドイツで開催されている建設機械の見本市「バウマ2025」で公開した。
BEVトラックによる純電動のコンクリートポンプ車としては世界最大級になるといい、排出ガスを出さずに42メートル先までコンクリートを送り出せる。このトラックは、スウェーデンの建設会社スウェロック社に届けられるものだという。
BEVトラックを世界に先駆けて投入してきたボルボ・トラックスと、コンクリートポンプで世界最大手級のプツマイスターが共同開発したトラックマウント型の新型電動コンクリートポンプ車は、ボルボの長年の顧客であるスウェロック社のリクエストに応じたもので、建設現場でのコンクリートの圧送に「純電動」という選択肢が新たに加わった。
建設現場の作業では様々な特装トラックが活躍しているが、コンクリートの圧送は従来型のディーゼル車にとってもエンジン負荷の高い作業だ。それだけにポンプの作動中は多くの排出ガスと騒音が発生する。
新開発された純電動ポンプ車は50kmの距離を自走し、充電ケーブルなどを接続することなく(車両のバッテリーを使って)、そのまま50立方メートルのコンクリートを流し込むことができる。
さらに長い距離の移動や、もっと多くのコンクリートを必要とする場合、CCS充電器を現場に設置することでBEVトラックの充電とコンクリートの圧送を並行して続けることが可能だという。
ボルボ・トラックスのドイツ営業部を率いるクリストフ・フィッツ氏は次のように話している。
「電動のトラックと新技術を組み合わせることにおいて、ボルボ・トラックスはイノベーターです。電動のコンクリートミキサ車や鉱山向けのアプリケーションを発表しましたが、BEVコンクリートポンプ車という新たなイノベーションをバウマで発表できることを誇りに思います。
私たちは協力することが前進するための力になると信じており、その一例としてプツマイスターと共同で電動のコンクリートポンプ車を完成させました。充電中でも動作可能なこの電動ポンプ車により、ゼロ排出・低騒音・高効率のソリューションを実現できます」。
純電動コンクリートポンプ車の詳細
ボルボ・プツマイスターの純電動コンクリートポンプ車の詳細は次の通りだ。
シャシー : ボルボFMエレクトリック(BEV) タグトライデム(後3軸) 4軸リジッドトラック
ボディ : プツマイスター iONTRON eBSF トラックマウント電動コンクリートポンプ
駆動系 : 電動モーターx2 + 「Iシフト」ギアボックス(連続出力330kW)
バッテリー : 専用に開発されたバッテリーパックx4 (総容量360kWh / そのうち250kWhが利用可能)
充電 : CCS2方式 63/32A(PTO・ポンプ作動中も充電可能)、AC(最大43kW)、DC(最大250kW)
重量 : 車両総重量(GVW)32トン
特装トラックの中でもエンジン負荷が高く、電気駆動による単純な代替が難しかったのがコンクリートポンプ車だが、新型BEVコンクリートポンプ車により、運搬、混合(ミキサ車)、圧送(ポンプ車)まで、建設業界はコンクリートに関するオペレーションの全体を電動化できるようになる。
ボルボはBEVトラックの量産を2019年に開始し、輸送用トラックのほかセメントミキサー、ダンプ、クレーン、フックリフトなど、建設業界向けの特装系トラックも含めて電気駆動による脱炭素化を進めている。
同社はBEVトラック分野で世界をリードしており、欧州での販売シェアは約50%、北米でもトップシェアだという。
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