10年ぶりの全面改良で問題解決&性能向上!! 極東開発工業の新型36m級コンクリートポンプ車はココがスゴい!!

10年ぶりの全面改良で問題解決&性能向上!! 極東開発工業の新型36m級コンクリートポンプ車はココがスゴい!!

 極東開発工業が2021年11月に発売した新型コンクリートポンプ車「ピストンクリート PY140-36A」は、従来型が直面していた車両の成立性の問題を解決し、さらなるポンプ性能アップも実現した意欲作。ベースとなる日野大型シャシーの出荷再開で俄然注目を集めそうな新型の特徴に迫る!

文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2022年6月10日発売「フルロード」第45号より

代替需要増を受け10年ぶりの全面改良

建設現場で活躍するコンクリートポンプ車
建設現場で活躍するコンクリートポンプ車

 コンクリートポンプ車は、建設現場で使う「生コン」を打設現場に圧送する機能を持つ特装車。車体に生コンを圧送するためのポンプを備えるのが特徴で、ポンプの種類により「ピストン式(中大型ベースで高い圧送能力を誇る)」と「スクイーズ式(小中型ベースで機動性に優れる)」の2種類に大別される。

 今回紹介する新型「ピストンクリート PY140-36A」は、車両総重量25t級の大型低床4軸(8×4駆動)シャシーを架装対象とする36m級ブーム搭載のピストン式コンクリートポンプ車。従来型は2011年から2020年まで生産された「ピストンクリート PY125-36A」である。

 従来型は2015年の法規対応に伴うマイナーチェンジを経て生産されてきたが、2017年の排ガス規制対応に伴うシャシー側のレイアウト変更の影響で車両の成立性が難化。生産が困難となり、販売台数が激減していた。また、発売から10年以上が経過していたことで市場の代替需要も高まっていたという。

 こうした市場動向を背景に、従来型の車両の成立性の問題の解決、さらなるポンプ性能アップも狙って開発されたのが新型だ。

架装物レイアウト変更と軽量化で成立性の問題を解決

 従来型が抱えていた車両の成立性の問題は「シャシーと架装物の干渉」と「排ガス浄化装置の重量アップ」の大きく2つ。

 シャシーと架装物の干渉とは、シャシーのレイアウト変更で第2軸(前から2番めの車軸)がキャブ側に寄せられたことで、ジャッキシリンダー(ブーム展開時に車体を支える格納式の脚)との隙間がほとんどなくなってしまうというもの。これはジャッキシリンダーを保持するブーム装置の搭載位置を前方に移設することで解決した。

 ただ、重量級のブーム装置が前方に移設したことで前軸のタイヤ負荷率が制限オーバーになるため、重量物を後ろに持っていくレイアウト変更を実施。なかでも高圧水ポンプは搭載位置がシャシー上から下に移動され、向きも縦から横に変更。これにより前軸のタイヤ負荷率は従来型の99.3%から96%へと大幅に緩和されている。

 いっぽう、排ガス浄化装置の重量アップは、同装置の重量が増加したことで、シャシー、架装物、塗装の重量のバラツキのワーストケースが重なると車両総重量が単車の制限値の25000kgを超えてしまう可能性が出てきたことから、架装物の軽量化を行なったもの。

 具体的には架装ベース車を日野プロフィアFW1EHG(13Lエンジン搭載車)からFW1AHG(9Lエンジン搭載車)に変更した。変更後の車両総重量は約24990kgだが、これは軽量化分を洗浄水タンクの容量アップ(300Lから490Lへ)に回したため。現場では洗浄水がたくさん必要なので、この改良はユーザーに歓迎されそうだ。

次ページは : 油圧ポンプの電子制御化でさらなる性能アップを実現

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