リースアップした中古トラックを新車同様に再生した上で供給する、いすゞ自動車の「リマニユニット車」に、このほど中型トラック・フォワードが新たに加わった。新車製造時に対してCO2排出量を▲28トンも削減するため、温暖化ガス削減に取り組むフリートユーザーにとっては、車両調達時の選択肢のひとつとなるものだ。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/フルロード編集部
図/いすゞ自動車
リースアップ車を新車同様に再生
リマニユニット車とは、トラックユーザーにおいてリース使用後に回収した車両(リースアップ車)のエンジン、トランスミッションなどのパワートレーンをリビルトし、また足回り部品の交換や、内装のクリーニングおよび部品交換などを行なうことで、新車と同等の信頼性・耐久性を担保した再生車両である。リマニとはリマニファクチュアリング(再製造)の略だ。
特にパワートレーンのリビルトは、部品コアの分解・洗浄を行ない、消耗品を交換、再び組み立てるもので、新品同様の性能と耐久性を保証している。
リマニユニット車には「type-Re」というブランドを与えて、2022年10月に大型トラック・ギガから展開を開始したが、このほど中型トラック・フォワードをラインナップに追加、「フォワードtype-Re」として取り扱いをスタートした。
現在、トラックの導入にリースを利用するユーザー企業は多い。リース期間は事例により様々だが、いすゞのリマニユニット車は、短期リースかつ高稼働だった車両、つまり走行距離は長いがまだまだ年式の若いクルマを対象としている。
将来は電動車もリマニ化へ
いすゞは、2050年までに製品のライフサイクル全体で温室効果ガスの排出量ゼロを目指している。また、廃棄物・廃棄車両の再資源化率についても100%を目指すなど、「循環経済」の実現を目標としており、リマニユニット車の展開は、その一環となる取り組みだ。
フォワードtype-Reは新車に対して、製造時のCO2排出量を約28トン削減しながら、新車と同等の機能を実現する。これは、5年間で約70万kmを走行したフォワードで実証されたもので、年式が新しいため、多くの部品を再利用できることがポイントになっている。
リマニユニット車の再生作業は、いすゞグループのいすゞエンジン製造北海道(IEMH)が担当する。IEMHでは、部品のさらなる再利用率向上や品質アップに取り組んでいるが、電動車のリマニュファクチャリング技術の習得にも着手するなど、将来における循環経済の実現に向けた活動が進められている。
元はリースアップ車のtype-Reシリーズは、再びメンテナンス付リース販売のみで市場に供給される。多数のトラックを運行するフリートユーザーに対しても温暖化ガス排出削減が求められるいま、燃費性能に優れた新型車か、BEVやHEVあるいはLNG車など代替燃料車の調達か、そして新車同然のリースアップ再生車でCO2排出削減につなげるか、新たな選択肢を提示するものといえる。
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