ヤマト運輸の2トン積トラックベースの主力配送車「MPバン」の電動化がついにスタートする。9月12日に群馬県の同社高崎正観寺営業所で、三菱ふそうトラック・バスの新型EVトラック「eキャンター」の納車披露式が行なわれ、本年度内に約900台導入することを発表した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/三菱ふそうトラック・バス、ヤマト運輸
ヤマト初の2トンEVトラック全国配備
ヤマト運輸では、2030年までに業務用車両2万台をEVへ転換する目標を掲げており、昨年からEVの本格導入を始めている。新型eキャンター配備もその一環で、積載量2トン級の小型EVトラックの全国配備は初めてとなる。導入は9月から開始し、2023年度内(2024年3月末)に全量を配備する予定である。
同社が導入するeキャンターは、標準キャブ・標準ボディ(ホイールベース2500㎜)・全低床シャシーのSサイズバッテリー(容量41kWhのLFPリチウムイオン電池パック×1基)搭載モデルをベースとしたもので、国交省審査値の航続距離は116km。ヤマト向けシャシーには日常的な充電作業を容易にするため、リアオーバーハング右側に普通充電用ポート(6kW)を設けたオプションも採用している。
導入する約900台のうち、約8割超が同社の主力配送車である「MPバン」となる。MPバンとは、バン型(ボックス)ボディに常温帯・冷蔵帯・冷凍帯の3温度帯にそれぞれ対応した荷室を備えたもので、通常の宅急便(常温品)とクール宅急便(冷蔵品・冷凍品)が同時に運べる。
eキャンターMPバンは、全長5.39m×全幅1.91m×全高3.12mで1ナンバー車(普通貨物車)となるが、最小回転半径4.9m(ベースシャシーの数値)で、5ナンバー乗用車(最小回転半径5m前半台)よりも小回りが利くことになる。また、最大積載量2トンもディーゼル車と同等である。車両総重量は5.8トン。
「社員にとって使いやすいことも重要」
なお、残りの約2割弱は単室で温管機能のないドライバン仕様で導入する。こちらも最大積載量は2トンとなっている。
eキャンター導入について、ヤマト運輸の長尾裕社長は、「EV導入はサステナブル経営を進める上できわめて重要な取り組み。環境への配慮や車両性能はもちろん、働く社員にとって使いやすいEVであることも重要です。今回導入する新型eキャンターは、コンパクトで小回りが利くなど、集配業務においても非常に使いやすい車両です」とコメント。
また、三菱ふそうトラック・バスのカール・デッペンCEOは、「ヤマト運輸は初代eキャンターを2017年に25台導入され、その有益性を評価いただいています。新型eキャンターが、ヤマト運輸の目指すカーボンニュートラル実現の一助としてサポートできることを光栄に思います。また、FUSOグリーンリース(EVトラック運用に対応したフルカバーメンテナンスサービス、EV専用コネクティッド、充電器設置などを含むリース商品)を通じて、eモビリティへのスムーズな移行も支援してまいります」とコメントしている。
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