欧州のEU理事会とEU議会は大型車の新しいCO2排出量規制で暫定合意した。欧州委員会が昨年提案した基準を両者が受け入れた形で、最終決定前ではあるが「2040年までに大型トラックの排出量を90%削減する」など、非常に厳しい規制が欧州の既定路線となった。
他に「eトレーラ」の定義の明確化や、排出量アセスメントの方法論などでも合意した。バイオ燃料・合成燃料の扱いなど争点は残っているものの、「ユーロ7」排ガス規制では自動車業界に譲歩した手前もあり、CO2規制が事実上の「ディーゼル車禁止令」となる可能性もある。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
表/欧州自動車工業会
写真/Daimler・Iveco・DAF・MAN・Scania・Renault・Volvo・フルロード編集部
大型車のCO2基準で欧州当局が政治合意
欧州連合(EU)理事会とEU議会は2024年1月18日、トラック、バス、トレーラなどの大型車(HDV)の、新しいCO2排出基準で暫定的な政治合意に達した。
自動車分野からのCO2排出をさらに削減することを目的としており、2030年、2035年、2040年のそれぞれに目標値を設定する。EUが掲げている2030年の環境目標と、2050年までの環境ニュートラリティ実現に貢献することを目指している。
また、欧州全域でゼロ・エミッション商用車のシェアを拡大するとともに、この分野でのEUのイノベーションと競争力を維持・推進することも目的になっている。
両者は規制の適用範囲を拡大することでも合意しており、対象となるHDVは全てCO2排出量の認定を受ける必要がある。対象車種はトラックとバス、そしてトレーラで、トラックについては従来の「車両総重量(GVW)7.5トン以上」から、より小型車まで拡大する方針だ。
いっぽう、適用が除外される車両もある。例えば次のような車両だ。
●少量生産車と鉱業・林業・農業用の車両
●軍用車両および消防車
●市民の保護、公共サービス・医療のために必要な車両
ただし、ゴミ収集車やコンクリートミキサなどの特装車は後期ステージ(2035年)で規制対象となる。また、欧州委員会はGVW5トンのトラックまで範囲を拡大することを検討している。
さらに、暫定合意はレトロフィット車(つまり従来車からゼロ・エミッション車へのコンバート)についても言及し、メーカー間でそうした移転が可能であるとした。こうした車両の市場での受け入れを図るため、レトロフィットHDVの普及促進にむけた調和のとれた規制のニーズを、欧州委員会が2025年までに調査する。
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