航続距離はディーゼル車並み? 米国メーカーが液体水素+燃料電池トラックで870kmの商用輸送に成功!

気体水素よりコストも安くなる?

航続距離はディーゼル車並み? 米国メーカーが液体水素+燃料電池トラックで870kmの商用輸送に成功!
ハイゾンの最新の200kW燃料電池スタック

 現在、FCEVでは気体の水素が標準となっている。液体水素のメリットは車両に搭載する燃料の量を大幅に増やすことができる点だ。これは液化することでエネルギー密度が向上するためで、車両の重量は変わらず、荷物の積載量も減少しない。

 いっぽう、水素の液化には極低温が必要で、運搬や貯蔵を含む各工程でマイナス240度未満の低温を維持する必要があり、実用化に向けた技術的難易度は相応に高い。

 このためハイゾンは産業用ガスのチャート・インダストリーズと提携し、液体水素を貯蔵し極低温を維持するとともに、燃料電池システムに規定の圧力で水素を供給するためのタンクシステムを共同開発した。

 チャートの社長兼CEO、ジル・エヴァンコ氏のコメントは次の通りだ。

 「これは水素エコシステムの実現に向けて意義深いことです。長距離輸送や重量物輸送は液体水素の用途として非常に重要です。弊社は極低温を維持する車載用の燃料タンクと液体水素の実験施設に投資を行なっており、水素社会の進展を支持しています。

 ハイゾン・PFGと共に行なった公道でのデモは、水素の商用化を大きく進化させる重要な一歩となります」。

 大型車の燃料として液体水素が有望視されるもう一つの理由がコストだ。タンクなどを含む全体的なコストで比較すると、将来的に気体の高圧水素より1kg当たり最大で5ドルほど安くなると試算されている(米国・アルゴンヌ国立研究所による2022年の試算で、米国の場合)。

 燃料費は運送会社の営業費用の大部分を占めるため、これは無視できない価格差だ。

 ハイゾンのミークスCEOは次のように付け加えている。

 「単純化して言えば、長距離トラックのゼロエミッション化にとって経済的なアプローチは液体水素であると私たちは考えています」。

 なお、今回のデモランで使った液体水素はエア・リキード(フランス)が製造したもの。その輸送・貯蔵・販売は北米で低炭素エネルギーソリューションを提供しているサータルス(カナダ)が行なった。

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