航続距離はディーゼル車並み? 米国メーカーが液体水素+燃料電池トラックで870kmの商用輸送に成功!

航続距離はディーゼル車並み? 米国メーカーが液体水素+燃料電池トラックで870kmの商用輸送に成功!

 米国の燃料電池車(FCEV)メーカー、ハイゾン・モーターズは同社初の液体水素(LH2)燃料によるトラックのデモンストレーションを行なった。実際に大型トレーラで荷物を配達する商用輸送で、走行距離は870kmを超えた。

 ディーゼル車と同等の航続距離が示されたほか、液体水素はコスト面でも気体の水素より有利とされる。LH2+FCEVにより長距離輸送や重量物輸送のゼロエミッション化が現実味を帯びてきた。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Hyzon Motors

液体水素+燃料電池トラックの有用性を示す

航続距離はディーゼル車並み? 米国メーカーが液体水素+燃料電池トラックで870kmの商用輸送に成功!
液体水素によるデモランを行なったハイゾンのFCEV

 燃料電池技術とゼロエミッション大型車を開発している米国のハイゾン・モーターズは、液体水素を使った燃料電池大型トラック(LH2-FCEV)のデモンストレーション・ラン(デモラン)として、顧客による540マイル(約870km)の商用輸送を行なった。

 2023年8月30日の発表によると、ハイゾンのほか、食料品輸送で北米最大手級のパフォーマンス・フード・グループ(PFG)と産業用ガス大手のチャート・インダストリーズが参加しており、デモランの成功により液体水素およびLH2-FCEVの可能性を示した。

 テキサス州テンプルを出発したトラクタ・トレーラは、同州ダラス近郊でPFGの顧客となる8か所への配達を終えた。華氏100度(摂氏約38度)を超える気温が、極低温の維持を必要とする液体水素燃料にとっての悪条件となるなか、約16時間をかけて543マイル(約874km)を走行した。

 一般論として米国のトラックは日本より走行距離が長いが、この航続距離は液体水素が長距離輸送用大型トラックの燃料として、ディーゼル燃料(軽油)にそん色ない性能を持っていることを証明したと言えるだろう。

 なお、大手トラックメーカーではドイツのダイムラーなども液体水素を燃料とする大型車の実用化に向けて開発を進めている。

 ハイゾンのCEOのパーカー・ミークス氏は次のように話している。

 「このトラックは気体の水素を使うFCEVより航続距離が長くなっていますが、重量は変わっていません。デモランは未来の商用車における液体水素の可能性を示したものだと確信しています。

 デモはテキサス州中央部の多様な地形と、真夏の酷暑という非常に厳しい環境で行なわれました。これを踏まえると、商用化までに航続可能距離はさらに伸びると楽観しています。

 弊社の液体水素トラックは、内製の200kW燃料電池セルにより650~800マイル(1046~1287km)の長距離輸送も可能となるでしょう。これはほとんどのディーゼルトラックに求められる航続距離と同等です」。

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