ベンツの特装トラック「エコニック」が生誕25周年! 日本で消防車としても活躍する四半世紀のサクセスストーリーとは?

最新世代のエコニック

ベンツの特装トラック「エコニック」が生誕25周年! 日本で消防車としても活躍する四半世紀のサクセスストーリーとは?
エコニックの8割以上はゴミ収集車(塵芥車)として用いられている

 今日、エコニックは2軸、3軸、4軸のバリエーションを展開しており、メーカーが設定している許容総重量はそれぞれ18トン、26トン、32トンとなっている(実際の車両総重量は市場によって規制値が異なる)。

 キャブはローキャブ/ハイキャブ、ホイールベースは3450mmから5700mm、エンジン出力は200kW(272hp)から260kW(354hp)まで。ディーゼルエンジンは現行のユーロVI排ガス基準に対応する。

 トランスミッションには実績のあるアリソン製の6段トルクコンバータ式ATのほか、オプションで燃費に優れたメルセデス・ベンツ製AMT「パワーシフト3」(前進12段/後退4段)も用意し、使用する条件に合わせた選択が可能となっている。

 また、特定の運行用途に合わせて複雑なコンバージョンが要求される場合、メルセデス・ベンツの「カスタム・テーラード・トラック」(CTT)の実装を利用できる。つまりフレームをカットしてホイールベースをさらに短くしたり、車両の全幅を短くするといった改造が可能だ。

 他の大型トラックと異なるのは、ドライバーの着座位置が他の道路利用者と同等となるよう低い位置に設定されていることだ。これにより周辺の交通と直接アイコンタクトをとって道路状況を確認することができる。

 これは交差点などの右左折時に安全性を向上させるほか、道路工事が行なわれているときなどの周囲の確認にも役に立つ。

 安全支援システムは包括的なパッケージとして提供され、最新の車両を使っているユーザーは危機的な状況でも視界を確保できる。例えば歩行者検知に対応したアクティブ・ブレーキ・アシスト5やレーン・キーピング・アシストなど、エコニックとeエコニックでは多くの安全支援システムが標準化されている。

環境に貢献する天然ガスエンジン

ベンツの特装トラック「エコニック」が生誕25周年! 日本で消防車としても活躍する四半世紀のサクセスストーリーとは?
ギリシャのアテネには2009年以来、天然ガスエンジンのエコニックが導入されている

 エコニックは2002年から継続して天然ガスエンジンを提供してきたが、2015年からはエコニックNGT(NGTは「天然ガステクノロジー」の略)によってさらに環境性能を高めている。

 圧縮天然ガス(CNG)による走行は、ディーゼル車と比較してCO2排出量が最大で20%も少ない。バイオガスなど再生可能燃料も使用できるため、エコニックNGTのCO2フットプリントはさらに小さくなる。もちろんM936G型天然ガスエンジン(7.7L・302hp)のパフォーマンスはディーゼルエンジンと同等だ。

 エコニックの販売台数のうち、約10%は環境にやさしいNGTドライブだったという。2022年にエコニックNGTはバッテリー電気駆動の「eエコニック」に道を譲ったが、地方自治体向けのフリートなどでエコニックNGTの利点は多かった。

 2009年にはギリシャのアテネにゴミ収集用として108台のエコニックNGTが届けられている。スウェーデンの廃棄物運搬会社はストックホルムに50台を導入した。ウィーン空港ではエコニックNGTがケータリングトラックとして用いられ、航空機の翼の下を通るためローキャブを採用し車両の全高を抑えた。

 中でも最大規模のフリートはドイツの首都・ベルリンにある。250台の天然ガストラックは環境ニュートラルに向けた戦略において重要な位置にあり、同市の清掃局は独自のバイオガス工場を持っているため、循環型経済を実現している。

 すなわちエコニックNGTで集めた生ゴミからバイオガスを製造し、そのバイオガスでエコニックNGTを動かすという循環で、これを実現した清掃拠点が既に3か所あるそうだ。

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