ベンツの特装トラック「エコニック」が生誕25周年! 日本で消防車としても活躍する四半世紀のサクセスストーリーとは?

ベンツの特装トラック「エコニック」が生誕25周年! 日本で消防車としても活躍する四半世紀のサクセスストーリーとは?

 メルセデス・ベンツの特殊車両「エコニック」が誕生から25周年を迎えた。安全性やドライバーにとっての扱いやすさ、事業者にとっての収益性や環境性能など、特装車の新分野を開拓したベンツ・トラックの金字塔は、四半世紀を通じて世界中の様々な分野に活躍の場が広がった。

 日本では主に消防車に採用されるほか、欧州では2022年に電動の「eエコニック」が登場し、ゴミ収集など都市で働くクルマのCO2ニュートラルにも貢献している。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG・Daimler Truck Global Communications・Stadtreinigung Hamburg/Thorge Huter・フルロード編集部

ベンツ「エコニック」のサクセスストーリー

ベンツの特装トラック「エコニック」が生誕25周年! 日本で消防車としても活躍する四半世紀のサクセスストーリーとは?
第1世代のエコニック。イギリスのファーンボロー空港に導入されたタンクトラクタで第五輪を架装。ドアはバスのような折戸も用意する

 ダイムラー・グループが製造する特装トラックで特殊車両のシャシなどにも用いられる、メルセデス・ベンツ「エコニック」は四半世紀にわたりサクセスストーリーを紡いで来た。

 1998年に初めて製造されたエコニックは、特に都市部の集配送という非常に要求の多い仕事で、使いやすさ、安全性、経済性、そして環境性能を発揮してきた。その運行は欧州から世界に広がり、日本市場にも導入されている。

 用途は都市部のゴミ収集や地場輸送から、消防車などの緊急車両、そして道路建設などに拡大し、環境という側面では天然ガスエンジンに代わってバッテリーEV(BEV)の「eエコニック」がヴェルト工場の生産ラインで従来のエコニックと並行して製造されるようになった。

 エコニックが初めてお披露目されたのは1998年のエンツォルガ・トレードフェア(ミュンヘンで開催された上下水道・廃棄物処理・再資源化などの見本市)で、革新的な低床特装トラックとして、スイスのボーデン湖畔にあるNAW(アルボン・ヴェッツィ工場)で製造された。

 2001年に6×4駆動が追加され、2004年には4軸・4輪駆動・4輪操舵の”8×4/4″というコンフィギュレーションまで車型が拡大した(”x4″は4輪=2軸が駆動軸であることを表し、”/4″は同じく操舵軸が2軸あり、前軸のほか後軸のうちリア側の車軸がステアすることを意味する)。

 天然ガスエンジンが設定されたのは2002年。翌年、生産はドイツのヴェルト工場に移管され、2005年までに5000台を製造した。2009年には1年間で1500台という販売を記録し、その後2年間で累計1万台を超えるなどヒット車となった。2013年には第2世代が初公開され、モデルチェンジしたエコニックの量産が開始された。

 第2世代エコニックは今も現役の車種だが、2022年に従来の商品レンジに完全電動BEVのeエコニックが加わったことで、持続可能性という目標に向けた新たなマイルストーンとなった。

 今日までに製造・納車を終えたエコニックは2万8000台を数える。そのうち85%は廃棄物の収集運搬用のトラックで、5%が消防車となっている。残りの10%はそれ以外の架装で、例えばダンプやミキサー車などの建設関係、飛行機への給油車やケータリングトラックなど空港用車両などにも使用される。

 日本市場では多目的トラックの「ウニモグ」と共にワイ・エンジニアリングが扱っており、消防はしご車など消防車としての採用が多い。

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