ドイツのボッシュが米国ニコラの大型トラック「トレFCEV」用に、燃料電池システムの量産を開始した。これにより2023年の第3四半期のローンチとしていた燃料電池大型トラックは予定通り販売を始めるようだ。
そのニコラは米国の水素企業バヨテックと相互供給で合意し、同社から低炭素水素の供給を受けるほか、水素運搬トレーラを最大10台購入する。またバヨテックはニコラから燃料電池トラックを最大50台購入するという。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Robert Bosch GmbH・Nikola Corporation
ニコラ・トレFCEV用の燃料電池システムが量産開始
ドイツに本社を置く自動車部品大手・ボッシュ(ロバート・ボッシュGmbH)は、2023年7月13日、シュトゥットガルトのフォイヤバッハ工場にて、燃料電池パワーモジュールの量産を開始したことを発表した。
最初の顧客となったのは米国のニコラで、米国のトラック区分で最も重いクラス8に相当する燃料電池トラック(FCEVトラック)「トレFCEV」は、予定通り2023年第3四半期にも米国市場で発売される見込みとなった。
なお、ニコラはイタリアのイヴェコと提携しており、トレのシャシーは同社の大型トラック「Sウェイ」をベースとしている。
ボッシュは水素のバリューチェーン全体で事業を展開し、水素の製造と応用技術を開発する。2030年までに水素技術関連で約50億ユーロ(8000億円弱)の売上高達成を目指している。
同社取締役でボッシュ・モビリティの会長も務めるマルクス・ハイン氏によると、ボッシュは燃料電池システムのような複雑な技術を量産できる数少ない企業の一つだといい、グローバルな製造ネットワークを活かして中国の重慶でも燃料電池モジュールの生産を開始するそうだ。
「ボッシュは必要なシステムに関する専門知識だけでなく、新規開発した製品の迅速な量産化に対応できる能力も備えています。中国とドイツの両方でこれらのシステムを生産した最初の企業となります」。(同氏)
さらに、サウスカロライナ州アンダーソンにある米国工場でも、燃料電池スタックの製造を計画している。燃料電池はトラック用として普及が見込まれ、ボッシュでは、2030年までに世界中の重量6トン以上の新車トラック全体の5分の1に、燃料電池パワートレインが搭載されるようになると予測している。
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