国内初の商用EVメーカーで、小型商用車「エレモ」シリーズを販売する新興メーカー・HWエレクトロは、同社のコネクテッド技術プラットフォーム(基盤)の「HW ELECTRO Platform Service」を来春にリリースすると発表した。
HWエレクトロ独自のコネクテッド技術となる同サービスは、車両とインターネットを繋ぎ、災害支援や配送領域最適化を目指すもの。車両データをクラウドで分析することで配車サービスや配送ルートの最適化を実現したり、決済サービスやスマホアプリなど外部サービスとの連携を可能にする。
これまでに4ナンバーと軽自動車の2モデルが展開されている「エレモ」は、電気駆動によるゼロエミッションに加えて、荷台のスワップ機能やIoT機器の搭載を特徴とし、外部給電機能を備えるなど災害時発生時の活用も訴求している。
コネクテッド技術と合わせることで、荷台の温度管理や配送のDX化などさらに高度なアプリケーションも可能となる。また、この技術を活用して2030年以降の公道での自動運転も目指すとした。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/HW ELECTRO 株式会社・フルロード編集部
車両とインターネットを接続するサービス基盤
HW ELECTRO株式会社(以下、HWエレクトロ)は、EV市場における新しい価値を創造するため、独自のコネクテッドサービス基盤「HW ELECTRO Platform Service」を2023年春にリリースする。
また、それに先立ち「HW ELECTRO Platform Service」に関する紹介動画をユーチューブで公開した。
HW ELECTRO Platform Service 概要動画
HWエレクトロは、「環境問題」と「社会貢献」の視点から次世代の多用途小型商用EV車「ELEMO(エレモ)」シリーズの製造、販売を行うファブレスメーカーだ。
2021年4月に輸入小型の電気商用車として国内で初めてナンバーを取得し、同年7月24日より「エレモ」、11月20日より軽自動車枠の「ELEMO-K(エレモK)」の販売を開始している。
今回、コネクテッドサービスの基盤となる「HW ELECTRO Platform Service」をリリースすることで、HWエレクトロが展開する車両で、インターネットを活用した災害支援や配送領域の最適化を始めとする様々なサービスの実現が可能になる。
多用途EVのエレモとインターネットを介した運行管理やスマートフォンアプリとの連携機能などのIT技術を組み合わせ、電動EVならではのゼロエミッション性能とともに、未来への要請に一歩進んで応える。
同社は、エレモとコネクテッドサービスにより利便性の高いDX(デジタルトランスフォーメーション)環境の提供や、物流の効率化を支援することを目指している。
コネクテッドサービスの活用イメージ
エレモのシャシーは部品のモジュール化を徹底したことで、製造工程の効率化と高い耐久性を実現している。アメリカ・カリフォルニア州と中国・杭州の2か所に拠点を置くCENNTRO社が製造する小型EVトラックがベースだ。
とはいえ、自動車の設計では世界的に有名なオーストリアのマグナ・シュタイアのエンジニアによるハイスペックなサスペンションシステムの実装や、多様なニーズに対応する多機能荷台オプションなど、単純な輸入EVではなく、カーエンジニアリングの面でも優れた独自性を持つ。
なお、HWエレクトロはエレモの販売をメインに行なったあと、2023年以降に自社開発車両の製造・販売をスタートする計画を持っているそうだ。
IoTハードウェア自体はエレモの発売当初から車両に搭載されていた。コネクテッドサービスの基盤がリリースされることで、車両のデータを活用したさらに高度なアプリケーションが可能となる。
HWエレクトロは実現するサービス活用イメージとして次のようなものを挙げている。
●災害発生時の移動式インフラ供給
大雨や大地震のような災害時には、エマージェンシーツールとしても活躍する。災害場所からアプリを通じて、救援要請を依頼することができ、また別の活用方法として、物資運搬や車両からの電力供給を通じて災害時の支援を可能とする。
●配送のDX化
宅配などの物流領域においては、荷物の送り先・配送時間・重量・荷姿などの情報を把握し、アプリケーションと連携することができる。ドライバーのスコアリング、走行ルートの分析、車両のメンテナンスなどの管理も可能なため、アプリ、車両、荷物の最適化を行を通じて効率的な配送とドライバー支援を行なう。
●荷室の温度管理
温度管理機能との連携により、アプリからコンテナ内の温度を調整し、常に最適な品質管理が可能になる。
HWエレクトロのエレモの特徴の一つは、クライアントのニーズに応じて荷室のカスタマイズが可能な事。温度管理機能と各業態にマッチしたアプリケーションを組み合わせることで、生鮮食品や生花、キッチンカーやスーパーの移動販売車等、様々な販売の効率化を実現することができる。
また、公開した動画の中でHWエレクトロは、コネクテッドサービス基盤と連携することで、2030年以降にレベル4自動運転(特定条件下での完全自動運転)による公道走行を目指す方針も明らかにしている。
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