全日本トラック協会が2024年の交通事故統計の分析結果を公表している。最近ニュースなどを見ても、トラックが加害者となる死亡事故が増えていると感じるが、実際、死亡事故件数は2022年の「169件」から増加に転じ、2024年は「200件」だった。
今年2025年は5カ年計画の「総合安全プラン2025」の最終年だ。しかし2024年の実績としては、前回プラン(プラン2020)の目標値すら割り込んでしまった。話題の多い「2024年問題」対策が進められているが、安全は全てに優先するはず。具体的で実効性のあるトラック事故防止対策が急務となっている。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
図表/公益社団法人 全日本トラック協会
年間の死亡事故件数が200件に
全日本トラック協会(全ト協)は2025年4月17日、前年(2024年)1月~12月の交通事故統計分析結果を公表した。
トラックが第一当事者(過失割合の大きいほう、つまり加害者側)となる死亡・重大事故件数は前年より減ったが、死亡事故件数は1件増え、2021年以来の200件となった。
事業用トラックは、車両の大きさや重量などから交通事故の発生状況に乗用車とは異なる特徴がみられ、全ト協は警察庁が公表している全国の交通事故データをもとに、運送事業者およびトラックドライバーに対する有効な交通事故防止対策となるよう、こうした分析を行なっている。
なお、交通事故削減に向けた行政の取り組みとしては、国が5カ年計画で目標値を定めている。これを踏まえて国土交通省が「総合安全プラン2025」(軽貨物を含む)を、全ト協が「トラック事業における総合安全プラン2025」(軽貨物を含まない)を策定し、それぞれに目標値を定めるなど取組を進めているところだ。
全ト協のプランでは、2025年までに「死者数・重傷者数の合計を970人以下」「車両1万台当たりの死者数・重傷者数の合計を6.5人以下」「飲酒運転ゼロ」達成を掲げているが、2024年の死亡事故件数は先述の通り「200件」で、2022年の「169件」、2023年の「199件」より増えてしまった。
トラックが加害者となる死亡事故件数は2022年まではおおむね減少していたが、そこを境に増加に転じている。営業用トラック(軽自動車とトレーラを除く)1万台当たりの死亡事故件数も1.51に悪化し、これはプラン2025どころか前の5カ年計画(2020年当時)の目標値にも届いていない。
トラックが加害者となる死亡事故防止対策は急務だ。
トラックが関与する死亡事故の傾向
死亡事故の発生地としては埼玉県が最も多い23件、次いで神奈川県が18件、東京都が17件、大阪府と兵庫県が12件だった。道路区分では一般道路が158件(79%)で高速道路が42件(21%)だ。車両区分では死亡事故の61.0%が大型車、35.5%が中型車、3.5%が普通車となっている。
事故類型では半分以上が「車両相互」(自転車などの「軽車両」も含む)だ。「人対車両」は37.5%、「車両単独」は11.0%だった。
中でも「駐・停車中の追突」が22件と最も多く、次いで「出合い頭衝突」が18件。「横断中(その他)」が17件、「横断中(横断歩道)」が16件、「進行中の追突」と「左折時衝突」も16件だった。車両単独では「防護柵等」が9件、「分離帯・安全島」が5件で、この2つを合わせると単独死亡事故の6割以上を占めた。
時間帯で最も多いのは「4~6時」で30件、次いで「2~4時」の29件だった。22~6時のいわゆる深夜・早朝の時間帯は死亡事故が特に多く全体の4割以上を占めている。なお、死亡・重傷事故全体では「8~10時」が最も多く深夜早朝の時間帯は全体の2割なので、この時間帯の死亡事故の発生率はおよそ2倍だ。
運転者の年齢層で最も多いのは「50~54歳」で、免許取得年数は「10年以上」が9割近くを占めるなど、運転経験に関わらず死亡事故が発生している。
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