半年で昨年の総数に迫る非常事態!! 事業用トラックの事故が急増しトラック協会が注意喚起

半年で昨年の総数に迫る非常事態!! 事業用トラックの事故が急増しトラック協会が注意喚起

 トラックが第1当事者(加害者)となる事故が急増している。2022年の死亡・重傷事故件数は前年比で大幅に減ったものの、「総合安全プラン」の目標値には届かず、また2023年に入ってからは死者数・負傷者数が半年間で前年の総数に迫る非常事態となっている。根絶を目指している飲酒事案も5件発生しており、全日本トラック協会が注意喚起を行なっている。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・表/全日本トラック協会・フルロード編集部

交通事故統計分析と総合安全プラン

半年で昨年の総数に迫る非常事態!! 事業用トラックの事故が急増し全ト協が注意喚起
2022年の車両1万台当たりの死亡・重傷者数。全ト協が目標とする各県共通の6.5人は、多くの府県で未達となった

 全日本トラック協会(全ト協)は2023年8月7日、令和4年(2022年)の交通事故統計分析結果の確定版(死亡事故編、および死亡・重傷事故編)を公開した。

 これは警察庁が公表している交通事故データをもとに、事業用トラックの事故発生状況を分析したもので、有効な事故防止対策につなげることを目的としている。

 交通事故の削減目標は、政府が5か年計画として令和7年(2025年)までの「第11次交通安全基本計画」で死者数・重傷者数等の目標値を設定しているが、これを踏まえて国土交通省は「事業用自動車総合安全プラン2025」を、また全ト協は「トラック事業における総合安全プラン2025」を策定し、それぞれに目標値を設定している。

(国交省と全ト協の「総合安全プラン」の大きな違いは軽貨物(軽自動車)を含むか含まないかで、全ト協のプランは含まない)

 それぞれの(2025年までの)目標値は次のようになっている。

(国交省)
1.2025年までに死者数190人以下
2.2025年までに重傷者数1280人以下
3.2025年までに人身事故件数9100件以下
4.飲酒運転ゼロ
5.2025年までに追突事故件数3350件以下

(全ト協)
1.死者数と重傷者数の合計970人以下
2.車両台数1万台当たりの死者数と重傷者数の合計6.5人以下
3.飲酒運転ゼロ

 なお、運転免許区分でのトラックの台数は、大型が40.4%、中型が21.9%、準中型が20.9%、普通が5.5%、トレーラが11.3%だ。

2023年に入って重大事故が多発

 トラックが関係する重大事故は長期的には減少傾向にある。ところが2023年に入ってからトラックが第1当事者となる事故が急増している。

 国土交通省がトラック等の重大事故について毎週公表している「事業用自動車安全通信」(国交省自動車局のメールマガジン)によると、1月から6月の上半期の重大事故件数は18件に上り、6カ月間で昨年の総数に迫る状況だ。

 とりわけ、一件で複数の死者や10名以上の負傷者が出る深刻な事故が相次ぎ、半年間の死者数は21人と、早くも昨年1年間の合計(27人)に近づいている。

 負傷者数に至っては半年間で58人となり、既に昨年の24人を大幅に越えている。奈良県の国道で大型トラックが信号待ちの車列に突っ込んだ事故(計20台が絡む多重衝突)や、沖縄県の国道で大型トラックが対向車線にはみ出し20名が負傷した事故など、今年1月に多くの負傷者を出す事故が複数あったためだ。

 飲酒事案は昨年より減っているものの、既に5件が発生している。中には岐阜県内の高速道路で大型トラックが中央分離帯に衝突した事故など、ドライバーが運行途中に酒を購入し飲んでいた事例もあった。

 全ト協は飲酒運転をトラック運送業の社会的信頼を失墜させ、社会全体からの信頼関係を根底から崩壊させかねない反社会的行為として根絶を目指しているが、「飲酒運転ゼロ」の目標は未だに遠い。

 こうした非常事態ともいえる状況から全ト協は、7月6日に事業用トラックが第1当事者となる事故多発についての注意喚起を行なった。

 その中で都道府県のトラック協会と傘下の会員事業者に対して、過労運転とならない無理のない配車計画、適正な車間距離の保持、法定速度の遵守、乗務員への事故発生状況の周知徹底、事故の未然防止に向けた具体的な指導、ドライバーの健康状態の把握、アルコール検知器を使用した点呼と検査結果の確実な記録などを呼び掛けている。

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