知られざる80年の歴史!? 電気工事でおなじみ高所作業車のルーツに迫る!

サクランボが生みの親!?

ジェイ・アイテル氏が開発した「チェリーピッカー」の特許資料に添付された図。テレスコ伸縮構造を持ったトラスブーム、人が乗る作業台のバケットに明示された操作用レバーがわかる
ジェイ・アイテル氏が開発した「チェリーピッカー」の特許資料に添付された図。テレスコ伸縮構造を持ったトラスブーム、人が乗る作業台のバケットに明示された操作用レバーがわかる

 いま我々が、電気工事や通信工事でよく見かけるほうのバケット付ブーム型高所作業車のルーツは、米・カリフォルニア州の電子技術者ジェイ・M・アイテル氏が1944年に発明した、「チェリーピッカー」だと考えられます。

 この「チェリーピッカー」には、テレスコピック式伸縮機構と旋回機構を備えた直伸式ブームの先端に、作業台となるバケットを取り付け、そのバケットに備えつけられた電気式レバー1本からブームの操作ができる……というメカニズムが備わっていました。これこそまさしく、いまの高所作業車に通じる仕組みです。

 その名が示すように、もともとはサクランボの収穫作業を効率化するために考案されたのですが、チェリーピッカーをトラックに架装した高所作業車は、米国の電力業界や電信業界から大いに注目を集めました。特許を取得したアイテル氏は、高所作業車メーカー・テルスタ社を起業し、チェリーピッカーの製品化と供給を始めました。

 アイテル氏は、チェリーピッカーの特許のうち電気式レバー操作システムについて保持しましたが、ブーム装置については早々と放棄しました。そのため1950年代の米国では、電工系/通工系の高所作業車として、バケット付ブーム型が急速に普及することができたとみられます。この動きは欧州へも波及し、1950~60年代にかけて、今日へと続く高所作業車メーカーが誕生していきました。

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