普通免許で運転できる「だれでもトラック」はこうして生まれた! 【いすゞエルフミオもう1つの開発ストーリー その1】

普通免許で運転できる「だれでもトラック」はこうして生まれた! 【いすゞエルフミオもう1つの開発ストーリー その1】

 現行の運転免許制度では、普通免許で運転できるのは車両総重量3.5t未満まで。その制限の中で小型ディーゼルトラックを成立させ、1t~1.3tの積載量を確保するのはなかなかの難題だった。

 いすゞエルフミオは、この難題に挑戦し見事にクリア。トラックドライバー不足に対応する、敷居の低いエントリーモデルとしても注目されている。

 しかし、新しいジャンルのトラックをいかに市場に受け入れてもらうか、そのマーケティング戦略も重要だ。

 そこで開発初期からエルフミオのマーケティングに携わったいすゞ自動車GR国内事業推進部営業推進グループの花田崇史氏に話を聞いた。そこにはモノづくりの開発と並行して行なわれた、もう1つの開発ストーリーがあった。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部・いすゞ自動車
*2025年3月発売「フルロード」第56号より

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■このクラスの市場性をどう把握したか?

いすゞ自動車GR国内事業推進部営業推進グループの花田崇史氏
いすゞ自動車GR国内事業推進部営業推進グループの花田崇史氏

――いすゞエルフミオは、ほぼ新規市場に参入を果たしたトラックである。確かに以前にも積載1.5t以下の小型トラックは存在したし、現在も細々と生き残ってはいる。

 しかし、ここ20~30年、自動車運転免許制度の改正やトラックドライバーのなり手不足、そしてEコマースに代表されるラストワンマイル物流の増大など、小型トラックを取り巻く環境は大きく変貌した。

 エルフミオは初めから激変した市場環境に対応し、AT限定普通免許で運転できる車両総重量3.5t未満のディーゼルトラックとして誕生したクルマである。その意味では、エルフミオは新しい市場の開拓者といえるかもしれない。

 新たに参入するにあたって、いすゞはこの市場をどう見ていたのだろう?

花田 エルフを含めて元々ずっと見ていた市場であるというところが1つのポイントなのかなと思っています。

 たとえば2017年3月の免許制度の改定がなければ、もしかするとエルフミオは誕生していなかったかもしれません。さらにドライバー不足の問題、ラストワンマイル領域の課題もあります。

 小型トラックは自家用として使われているお客様が一定数おられますし、将来的な担い手不足といったことは、ずっと市場を見ていたからこそわかっていたことでした。

 長い目で見るとそれらのことが大きな課題になってくるのではないか、そういった判断からエルフミオの開発がスタートしました。お客様が抱えている問題や課題に対して、いすゞとして変革を進めていく方針があったので、そういった「運ぶ」に対する課題解決というところで開発が始まったということですね。

――マーケティングの入り口のところでは、やはりボリュームゾーンをターゲットに置きたい。いすゞにとって運送事業者は「大のお得意さん」となるわけだが、そのいっぽうで1.5t以下は1台持ちの個人商店のようなユーザーも多い。その兼ね合いをどう見ていたのだろうか?

花田 大手物流企業様に関しても今のラストワンマイルの需要がどんどん加速していく中で人手不足という課題がありますから、当然視野に入れています。

 また、全体の需要で見ると、トラックを1台か2台保有してお仕事をされているお客様もおられる。特にその領域のお客様は、免許制度の改定で担い手不足というか、次の後継者がいないといった課題も浮かび上がってきています。

 ですからエルフミオは、大手運送事業者さんと小規模な事業者さんの両方に寄与できるのではないかと考えました。

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