新しい市場に新しい商品を投入する場合、もちろん良い製品をつくり上げることが大切だが、その商品をいかにスムーズに市場に受け入れてもらうかその仕組みをつくることも重要である。マーケティングとは、平たく言えばその仕組みづくりのこと。
「エルフミオ」という新しい商品をいかに新たな市場に受け入れてもらうか、そのマーケティングのプロセスについて、開発初期からエルフミオのマーケティングに携わったいすゞ自動車GR国内事業推進部営業推進グループの花田崇史氏に引き続き話を聞いた。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部、写真/フルロード編集部、いすゞ自動車
*2025年3月発売「フルロード」第56号より
■エルフミオの販売状況は?
――昨年の7月30日に発売されたエルフミオだが、受注状況はどうだろう?
花田 発売から4カ月経過した昨年11月末のデータですと、約1500台を超える受注をいただいております。エルフミオ発売以前の弊社の積載1.5tクラスの過去3年間の平均年間販売台数が約1700台でしたので、順調な滑り出しといえると思います。
1500台の内訳は、大手事業者さんが800台で、内いすゞの顧客であるリピートが700台、新規が100台となっています。また、一般事業者・個人事業主さんが700台で、うちリピートが550台、新規が150台となっています。
1500台のうち、過去にいすゞと取り引きのあったお客様の受注が約8割、今までいすゞ車を使っておられなかった新規のお客様は約2割という結果になっています。他のクラスでは大半がリピート顧客なので、多くの新規の受注を頂いていると思っています。
リピートのお客様からは、「リクルートに普通免許やAT限定免許でもOKということを積極的にアピールできる」「利用者を選ばないのでレンタカーのラインアップに加えたい」といった声が届いています。また新規のお客様からは、「やむを得ず軽の貨物車やワンボックスのクルマで運んでいたが、これで多くの荷物を積めるトラックを使うことができる」といった声もありました。
――エルフミオの販売にあたっては、オンライン販売チャンネル「エルフミオストア」が注目される。日本初のトラックのオンライン販売チャンネルで、24時間365日、いつでもどこでも簡単にWeb上で見積り作成ができ、商談・発注もオンラインで完結できるというもの。「スマホでトラックの商談をする時代なのか!?」と嘆息する向きもあるかもしれないが、実際はどうなのだろう?
花田 これも実績ベースで話をさせていただくと、アクセスは月に10万件、見積り作成依頼は3000件で、受注は月に10台をベースに推移しており、私どもとしては非常に手応えを感じています。特徴的なのは、エルフでは大都市と地方で半々の販売台数ですが、エルフミオのオンラインストアでは受注が大都市圏で75%となっており、しかもストア受注の約8割が新規のお客様ということです。
もちろん、まだ販売会社さんでの商談のほうが多いですが、ストアの開設によって今までいすゞと接点のなかったお客様ともコンタクトができるようになったことは大きいですね。トラックは高額商品ですから、オンラインでゆっくり自分に合った仕様を確認できるというのがメリットとだと思います。見積りを見てから販売会社で商談をするというお客様も一定数おられると思います。
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