2009年比で燃費効率2倍を達成!? 北米各社が相次いで公開した「スーパートラック」とは?

ダイムラー

2009年比で燃費効率2倍を達成!? 北米各社が相次いで公開した「スーパートラック」とは?
ダイムラー・トラック・ノース・アメリカ(DTNA)傘下、フレイトライナーの「スーパートラック2」

 ダイムラーが傘下のフレイトライナーからスーパートラック2を公開したのは2023年2月で、2015年のスーパートラック1に続き、2009年比で2倍の燃費効率を達成した。

 ダイムラーグループはDOEから資金提供されるプロジェクトを通じて、次世代の大型トラックの技術開発と、開発手法、そしてそれらを量産に結び付ける道を模索している。

 特に、トラクタの空力性能の改善、低転がり抵抗タイヤ、パワートレーンの改善、先進技術によるエネルギー管理などの分野が将来的に量産に結び付く可能性が高い分野とされた。

 史上最もエアロダイナミックなフレイトライナーとなったスーパートラック2は、前回より空力性能を12%改善した。特筆すべきなのは、コンセプト車用にキャブを新設計するのではなく、北米市場のマーケットリーダーであるフレイトライナー「カスケイディア」の空力性能を最大化するため、既存の形を再定義するというアプローチを採ったことだ。

 市販車のキャブ構造を維持しつつ、フード、バンパー、シャシーフェアリングを再設計し、トラック周囲の乱流を低減した。グリル、エアインテーク、ドアなども空力のために新たに開発した。

 サイドエクステンダーとルーフスポイラーがトレーラギャップを塞ぐとともに、ハイウェイでは路面から数インチの距離まで車高を低くし、空力を改善する。ミラーの代わりに採用したカメラも空力改善に寄与している。

 エンジンの低回転化とオーバードライブの効率化によりパワートレーンでも5.7%の燃費改善を行なった。リチウムイオン電池による48ボルトの電気系は空調などに係るエネルギー消費を低減し、エンジン停止時も作動する。タイヤもメーカーと共同で新規開発したもので、フリクション低減による燃費向上と小メンテナンスによる効率化を実現する。

ボルボ

2009年比で燃費効率2倍を達成!? 北米各社が相次いで公開した「スーパートラック」とは?
ボルボ・トラックス・ノース・アメリカ(VTNA)の「スーパートラック2」

 ボルボがユーチューブでスーパートラック2を公開したのは2023年10月だった。開発期間はちょうど新型コロナウイルスのパンデミックと重なり、サプライチェーンの混乱もあったが、2009年比でプラス100%というDOEの目標を大幅に超える134%の効率向上を達成した。

 スーパートラック・イニシアチブは、未だ市場に存在しない新技術の開発をメーカーに促すものだが、ボルボはどのようなソリューションが量産車に適用できるのかということに加えて、量産に向かない技術を明らかにすることも同じくらい重視している。米国政府が資金を提供するスーパートラックは、それを確認するために優れた方法だという。

 トラックの走行速度が速い米国で燃費を向上する上で重要なのが空力性能で、キャブをフロントから後ろまで、ウェッジ(くさび)型の形状とした。フロントウィンドウもラップアラウンド型とし、トレーラとのギャップをなくすためのフェアリング、サイドの全面を覆うスカートなどを採用した。

 従来型のミラー(ボンネット車なのでフード部にあるフェンダーミラーとキャブマウントのミラー)を廃止し、流線形のカメラに変えたことで、ドラッグを4%低減した。

 トラクタとトレーラを一体として設計することで、全体でのドラッグ低減は50%に及んだ。前回はVNL670のキャブを改造したが、スーパートラックIIでは空力改善のために新型キャブを設計し、白紙から設計することで、トラックの空力性能にはまだ改善の余地があることを証明した。

 これに加えてボルボのエンジニアが注力したのが軽量化だ。米国の大型トラクタは3軸車(6x4または6x2)が多いが、軽量化のために、積載量を維持しながら欧州で一般的な4x2を採用した。アルミシャシーとショートキャブも軽量化に貢献し、駆動軸やドライブシャフトも軽量化した。

 トレーラやタイヤメーカーとも協力し、とくにタイヤは19.5インチの小径・低フリクションタイヤをトラクタとトレーラの両方に履いた。また48ボルト電気系の「マイクロ・ハイブリッド」によりエンジンを切った時もキャブの快適性が維持され、アイドリングストップに貢献する。

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