世界各国のトラックをメーカーごとに紹介する「世界のトラック」。今回は欧州と同じブランド名を米国市場でも展開する「ボルボ(ボルボ・トラックス・ノースアメリカ)」をピックアップ。名門メーカーのDNAを受け継ぎながら独自モデルを展開する同社の歴史や最新ラインナップを多賀まりお氏が解説する!!
文/多賀まりお
写真/ボルボ
※2020年6月15日発売「フルロード」第37号より
ホワイトとGMのDNAを受け継ぐ
ボルボは本格的な米国進出のために1981年に「ホワイト」および同社の持つ「オートカー」を買収。これをベースにボルボの85%出資によるGMの大型車部門との合弁会社「ボルボGMヘヴィトラック社」を立ち上げた。
同社は既存のホワイト製トラックを「ホワイトGMC」ブランドで販売したが、95年以降は「ボルボ」に変更。翌96年にはボルボが初めて自社開発した米国向けクラス8セミトラクタ「VN」を発表し、97年にはGMから残りの資本を取得して「ボルボ・トラックス・ノースアメリカ(VTNA)」を設立した。
GMはボルボGM社の発足に併せて自社製大型車の生産を休止。97年の資本売却をもって大型トラック試乗から撤退した。なおVTNAは2001年にオートカーのブランドを「グランド・ヴィークル・ホールディングス社」へ売却。同社のもとでオートカーは特装車両専門メーカーとして活動を続けている。
VTNAの拠点は1981年以来ノースカロライナ州グリーンズボロー。VNモデルは長距離輸送用の「VNL」、近距離や汎用の「VNR」、オフロード走行に適したヘヴィデューティ仕様の「VNX」へと発展し、特装用の「VHD」、車両積載車専用の「VAH」とともにVTNAのラインナップを構成している。
●VNLシリーズ
欧州の「FH」に相当するフラッグシップモデル。キャブ骨格や内装の一部に先代FHとの共用部品も見られるキャブは、デイキャブ、前後長42インチ(約106cm)のフラットルーフ、70インチ(約177cm)のミッドルーフとハイルーフに、最上級の77インチ(約195cm)ハイルーフスリーパーを加えた5タイプ。
●VNRシリーズ
ローリーやバルク、集配といった近距離/地域輸送に使われる汎用モデル。キャビン部分はVNLと共通だが、短いボンネットやセットバックした前軸位置により小回り性も優れる。キャブはデイキャブのほか前後長42インチのフラットルーフ、61インチ(約154cm)のミッドルーフスリーパーの3種類が用意される。
●VMXシリーズ
重量物運搬や多重連結トレーラ、原木輸送などに対応するヘヴィデューティモデル。6×4、8×4、8×6の軸配置を擁し、許容連結車両総重量は最大22万5000ポンド(約102トン)に達する。キャブはデイキャブ、42インチフラットルーフ、70インチミッドルーフの3タイプ。
●VHDシリーズ
単車のダンプ、ミキサーをはじめオフロードトラクタなど、さまざまな用途に対応する特装用シャシー。20年3月のマイナーチェンジでフロントグリルとバンパーのデザイン変更とともにLEDヘッドライトをい採用した。
●VAHシリーズ
車両積載専用のセミトラクタ。キャブ上部にも車両を積載するためフロントのディープドロップ型Iビーム軸とリアの低床エアサスペンションによりシャシーの低床化を図り、標準仕様で102.5インチ(約2603mm)、キャブルーフをカットする改造対応で97.5インチ(約2476mm)の全高を実現する。
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