もともとは農業機械メーカーだった!? ピックアップから大型トラックまでつくる「ナヴィスター」ってどんな会社?【世界のトラック】

もともとは農業機械メーカーだった!? ピックアップから大型トラックまでつくる「ナヴィスター」ってどんな会社?【世界のトラック】

 世界各国のトラックをメーカーごとに紹介する「世界のトラック」。今回は「インターナショナル・トラックス」のブランドで各種トラックの製造販売を行なう「ナヴィスター」をピックアップ。農業機械メーカーから発展した同社の歴史や最新ラインナップを多賀まりお氏が徹底解説する!!

文/多賀まりお
写真/インターナショナル
※2022年6月15日発売「フルロード」第37号より

経営難と不祥事を乗り越えて

オンハイウェイの主力モデル「LTシリーズ」
オンハイウェイの主力モデル「LTシリーズ」

 バージニア州で麦の刈取機を開発して成功したサイラス・マコーミックの農業機器会社が「ディーリング・ハーヴェスター」社との合弁で1902年に設立した「インターナショナル・ハーヴェスター」が同社のルーツ。

 農業・建設機械とともに乗用車/商用車や園芸用製品などさまざまな分野に拡張したが、レーガン政権時代の1982年不況を機に業績が悪化すると事業部門ごとに売却を進め、残ったトラックとエンジン開発部門をもとに1986年2月「ナヴィスター・インターナショナル」に社名を変更した。

 現在の本拠はイリノイ州のリスル。同社は2010年のEPA10排ガス規制の向けて尿素SCRを使わずEGRだけで適合するMAXXFORCE11/13型エンジンを投入した。しかし間もなくEGRシステムの作動不良とその隠蔽が発覚して大規模な訴訟問題に……。

 大型用エンジンの生産はいったん休止されたが、17年には12.4LのA26型がMANのD26型をベースに開発され、「フォルクスワーゲン・トラック&バス(当時)」は同年、ナヴィスターの株式の16.6%を取得。20年にはその現在名である「トレイトン」が残りの全株式を取得した。

 現在はトレイトングループの一員として、軍用車両やICブランドのスクールバスとともにクラス4級のピックアップトラックからクラス8の大型車まで幅広いモデルを展開している。

●ローンスター
 2008年に発表された最新のフラッグシップ。省燃費性能を追求したキャブは往年の人気モデル「Dシリーズ(1939年)」をモチーフとしたアグレッシブなデザインを特徴とする。全鋼製のキャビンは2001年導入の「ワークスター」「デュラスター」から受け継いだもの。エンジンはカミンズ製のみ。

●LTシリーズ
 最新のオンハイウェイ量販車。2017年に「プロスター」に代わって登場した。キャブは従来車を凌ぐ空力性能を備え、フロントバンパー下のエアダムやサイドスカートといったエアロパーツとともに優れた省燃費性能を発揮。エンジンはカミンズ製と自社製を設定する。

●RHシリーズ
 LTシリーズとともに発表された近距離輸送/ローリー用の新世代モデル。従来車は「トランスター」であった。LTと共通のキャビンに短いボンネットを組み合わせたキャブは、デイキャブのほか2種類のスリーパーを設定。シャシーは4×2、6×2、6×4の3種類で構成される。

●HXシリーズ
 「ペイスター」の改良版として2016年に登場した特装用ヘヴィデューティモデル。キャブは旧世代のキャビンに新世代のボンネットを組み合わせる。ダンプ、ミキサー、脱着ボディ車に使われるHX515とHX615、重量物運搬などより負荷の高い用途に対応するHX520、HX620という4種類がある。

●HVシリーズ
 主にダンプ、ミキサーなど単車で使われる特装/オフロード用シャシー。広範なバリエーションがとこ樹帳で、4×2、4×4、6×4、6×6、8×6の軸配置、デイ、エクステンデッド、ダブルキャブなどが設定されている。

●MVシリーズ
 クラス5〜7の中型車。2018年に発表された「デュラスター」の改良版で、多くが4×2の単車だが、6×4の軸配置やセミトラクタ車型も存在する。

●CVシリーズ
 GMとのジョイントベンチャーで開発され2018年に登場したクラス4、5の中型車。キャブはフロントヒンジで開くFRP製ボンネットとともにストレートフレーム上に架装され、ダブルタイヤの後軸にはエアサスも用意されるなど大型車と同様の車体構成を持つ。

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