世の中には、知っているようで知らないことがたくさんあります。
トラック・バス用タイヤのプロのサービスマン・ハマダユキオさんが今回取り上げた「チューブレスタイヤ」も、知っているようで知らないものの一つ。ここはハマダさんの話に耳を傾けてみましょう。
文/ハマダユキオ、写真/ハマダユキオ・トラックマガジン「フルロード」編集部
チューブが無いからチューブレス
チューブレス。文字通りチューブがレス、無いってことですね。
スタッドレスタイヤと同じで、「スタッドって何?」というくらいひとつの単語として成立するくらい普及しております。
ちなみにスタッドは『鋲』という意味で、鋲が路面の氷を引っ掻いて凍結路でも走行できる冬用タイヤの部材のひとつですね。いわゆるスパイクタイヤです。
その鋲が雪の無い乾いた路面なんかを走行するとアスファルト等を引っ掻いて路面を削ってしまい、その削り粉が大気汚染の原因になったため、スパイクタイヤの製造、販売、使用を禁止。その代わりに鋲が無くても積雪、凍結路、そして乾いた路面も走行できるタイヤとして誕生したのがスタッドレスタイヤなのです。
もうかなり昔の話で、冬用タイヤの代名詞であり冬用タイヤ=スタッドレスタイヤという一般的な常識になりつつあります。
その感覚のチューブレス。チューブが入ってないことなんですが、一部の特殊車両等ではチューブが入ってるタイヤの方がまだ主流ではあります。
現在大型トラック、バス、乗用車等はほぼチューブレスタイヤです。では、なぜチューブを無くしていったのか?
当然メリットがあるからなんですが、そもそもなぜ昔はチューブが入っていたのか? その辺の話から始めてみましょうか。
タイヤの歴史を紐解くと……
車輪はそもそもゴムではなく木製からスタートし、回転する部分に動物の皮を貼付けた物ができ、さらに耐久性、高剛性が求められ金属加工も進み、鉄製の車輪の時代が約1900年も続きます。
車両の進化に伴い鉄製の車輪にゴムを巻き付けたものが登場。ここから車輪にはゴムを採用する時代が来ます。
より速く、より快適に。人間の欲望、進化はとどまりません。ついに約120年前に空気入りタイヤの登場です。
まだ約120年です。鉄製に比べればまだまだ若輩者ですが、ここから車輪と車両の進化は急激で、空気入りゴムタイヤが一般的になっていきます。
その進化の一部でチューブレス化があるのです。
発明は1947年のアメリカ。国内でトラック・バス用タイやの販売開始は1981年です。
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