日本では若者のクルマ離れが叫ばれて久しく、運送業界ではドライバー不足が深刻化しています。
では、実際の運転免許の保有者数自体はどうなっているのでしょうか? またトラックドライバーの潜在的ななり手、つまりトラックを運転できる大型免許等の保有者はどのくらいいるのでしょう?
警察庁交通局運転免許課が毎年発表している「運転免許統計」には、日本全国の運転免許保有者数が種類別・年齢別・性別・都道府県別などにこと細かく記載されています。
最新の令和3年版「運転免許統計」をもとに、その実態を覗いてみました。
文・写真/フルロード編集部 表/警察庁交通局
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運転免許保有者数は減っている? 増えている?
まず運転免許の種類を問わず すべての保有者数を見ていこう。
令和3年度の免許保有者は男性が4445万人、女性が3743万人で、総数では8189万人となり、統計が始まった昭和41年の総数2285万人に比べると約3.6倍である。
推移をみると、多少減少した年もあるが男女合計では平成30年(8231万人)まで右肩上がりで増加し、令和元年以降は3期連続で減少している。若者のクルマ離れが叫ばれ、いわゆるペーパードライバーが増えているという指摘もあるが、思いのほか免許保有者数は増え続けてきたという印象だ。
その要因の1つとしてあげられるのが、女性保有者の存在である。男性は平成21年の4539万人をピークに減少傾向が続くが、女性は統計の残る昭和44年から毎年前年比を上回り続け増加している。
男女比率でみると、昭和44年には男性が83%、女性17%(差66ポイント)だったが、現在の比率は男性54.3%、女性45.7%とその差はわずか8.6ポイントに迫る。
ちなみに年齢層で一番保有者が多いのは45〜49歳の907万人(男女合計)で、男女ともに50〜54歳以降からは減少に転じる。なお、若年層ともいえる20〜24歳の保有者は467万人となっている。
トラックドライバー等の潜在的なり手はどのくらいいるのか
総務省の調査によると令和3年は、トラック運送事業に従事する就業者数は全体で約199万人、このうちドライバー等輸送・機械運転従事者数は約84万人となっている。
また参考までに、緑ナンバー、白ナンバーを含めた自動車保有台数をみると準中型が216万台、中型車は99万台、大型車は95万台となっている。
これを念頭に、種類別・運転免許保有者数をもとにトラックドライバー等の潜在的なり手を見ていこう。
令和3年の普通免許の保有者数(男女合計)は544万人で、準中型は1112万人、中型は5852万人、大型は412万人となっている(2種類以上保有している場合は上位の運転免許に計上した数値)。
中型が多いのは、中型免許が新設された平成19年6月以前に普通免許(8t限定)を取得している人が含まれるからだろう。現在の年齢層でいえば、30歳台後半以降の人が該当する。このため30〜34歳までの中型免許保有者は145万人に対し、35〜39歳では一気に551万人となっている。
平成29年3月に新設した準中型免許は、中型〜準中型ができるまでの約10年間に普通免許(5t限定)を取得した人も含まれるため、こちらもボリューム自体は大きい。該当層の30〜34歳では391万人、25〜29歳は445万人となっているが、35〜39歳では一気に減り80万人、20〜24歳では100万人だ。
いっぽう大型免許の保有者数は免許・資格マニア(?)を除けば、純粋にトラック等に携わるため取得した人たちといえそうだ。約84万人のドライバー等輸送・機械運転従事者数に対し、大型だけで412万人もいれば潜在的には大丈夫じゃないか? とも思える。
ただ、トラック運送事業は中高年層に依存しているともいわれ、40歳未満の就業者数は全体の24.1%で、40〜49歳が29.1%、50歳以上が45.2%を占め、ドライバーとして引退しはじめる年齢の65歳以上の大型免許保有者は135万人もいる。
これを差し引くと65歳未満の保有者は約277万人。少々心もとない数値となる……。
コメント
コメントの使い方準中型持っている事が素晴らしい。中型(車輌総重量8トン限定)とは別の世代という事ですよね。志しがあるのは良いことです。