ドドメじゃなかったのね「ガマズミ」
秋に紅い実をつける樹木は多いが、「ガマズミ」はその中でも別格だろう。ガマズミはスイカズラ科の落葉樹で、高さは2~4mほどだろうか、それほど大きくなる木ではない。初夏に白く小さな花がたくさん集まって咲く様もいいが、やはりルビー色の実をたくさんつけた今頃がガマズミの見頃ではないだろうか。
ガマズミの実は、子供の頃の思い出と直結している。どういうわけか横浜では(あるいは僕らだけだったのかもしれないが…)、このガマズミの実を「ドドメ」と称していた。ガマズミの木に登ってドドメをむしって食べ、種をプップッとほき出すことが一つの遊びになっていた。熟していないとかなり酸っぱいが、この酸っぱさがドドメの魅力でもあった。
ところがドドメというのは、一般的には桑の実を指すらしい。だから僕らだけの勘違いだったのかもしれないが、子供の頃の刷りこみというのはおそろしいもので、ドドメ=ガマズミの実なので、ドドメ色もルビー色もしくは黒紅色を想起してしまうのだが、一般的にはドドメ=桑の実なので、紫色が正解なんだとか。でも、桑の実も早熟の頃はルビー色だし、完熟の頃はほとんど黒色に見えるので、ドドメ色=紫色というのもちょっと抵抗があるな~。
ところで、「ドドメ」にしろ「ガマズミ」にしろ、濁点の多いちょっとオドロオドロしいネーミングだが、どうしてこんな名前になったかは、あまり定かではない。ドドメは、「土留め」が語源で、昔は土留め用としてに桑の木が植えられたから、あるいは桑の木の板が土留めに用いられたから、なんてことが言われているが、植樹と板じゃずいぶん違うじゃないか、ヤイ! 取ってつけたように聞こえるぞ、ヤイ!
一方の「ガマズミ」も諸説あるようだ。ガマズミの枝は折れにくいため、道具類の柄とすることが多く、ガマは鎌から来ているのではないか、ズミは酸っぱい実の意味である、なんてことが言われているが、それってバラバラやん!ということで、紅い実を何らかの染色に利用したとの意味ではないかとの見方から、ゾメがつき、カマゾメが転訛して、ガマズミになったのではないか、さらに「神ッ実」もしくは「噛み酢実」の転化したという説もあるようだし、また、ガマズミの漢名「莢迷(きょうめい)の音読みが「カメ」に転じ、転嫁して「ガマ」の名になり、実に酸味があることから「ガマズミ」の名になったという説もある。正直言って、全く分かりませんね。
いずれにせよガマズミは、北海道から九州、さらに朝鮮、中国などの丘や山地でごく普通に見られ、その実は野鳥が好んで啄ばみますが、酸味があるから果実酒にも最適。あなたもルビー色のリキュールに秋を閉じ込めてはいかが? (うーん、シメはきれいに決まったな!)
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