謎の地下道を走るロボット顔の乗り物
今回は、行ったことのある人には完全に「ネタバレ」なんですが、一応お約束ですからね、分かっていても「ナニコレ~!?」って叫んで下さいよ、お願いしますヨ。
エ~、人を寄せつけない険しい山岳地帯の謎の地下道を走るロボット顔の不思議な乗り物を発見しました! (ハイ、ご唱和願いますヨ) 「ナニコレ~!?」。
山岳地帯につくられた謎の地下道っていうと、北朝鮮の核施設とか国際犯罪組織「スラッシュ」の秘密基地を想像しちゃいますが、ここは日本です。また地下道っていうからには、排気ガスの出る乗り物は敬遠したいっていうことで、この乗り物、電気で走ります。厳密にいうと法律上は無軌条電車として鉄道扱いとなる「トロリーバス」が正解。
ここは、長野県と富山県を結ぶ立山黒部アルペンルートの関電トンネルで、長野県大町市の扇沢駅から後立山連峰赤沢岳の直下を貫き、富山県立山町の黒部ダム駅まで6.1kmの間を16分で結んでいます。日本でトロリーバスは、この関電トンネルのほかは、同じ立山黒部アルペンルートの立山側ルートである立山トンネルでしか走っていません。
トロリー線から給電して走るトロリーバスは、今の若い人には馴染みがないかもしれませんが、キャップが住んでいる横浜では、都市トロリーバスの最後の路線として横浜駅周辺で1972年まで走っていたので、実際に走る姿を何度も見ています。それに乗ったこともあるはずなんですが、残念ながら全然印象に残っていないんですね。要するに、乗ってしまえば普通のバスと大して違いがなかったような……。
関電トンネルトロリーバスも、扇沢駅から先はずっとトンネルの中を走ることを除いては、普通のバスに乗っているのとほとんど印象は変わらなかったです。ちなみに、このバスにはクーラーがついていないのですが、それもそのはず、関電トンネルの中は真夏でも気温は10度くらいしかないんですね、窓は拭いても拭いてもすぐ曇ってしまいました。ちなみに黒部ダム駅に着いてダムに出るまでトンネルの中を歩くと、ちょっと寒いくらいでした。
関電トンネルトロリーバスは、現在3代目の300型で、これは1993年にでデビューしたもの。初代の100型は、東京オリンピックが開催され新幹線が東京ー大阪間を走り始めた1964年の開業と共に登場。1969年デビューの200型を経て、現在の300型に至るまで無事故で運輸営業を続けているそうです。ちなみに、もう一方の立山トンネルトロリーバスは、1996年にトロリーバス化されたそうで、それまではディーゼルバスを使っていたとのこと。
現在の300型は、関電トンネル内が急勾配のため、制動には空気式、電気式を併用し、後輪にはバックアップとしてスプリングブレーキ付きブレーキチャンバーを設けているそうです。制御装置は、従来の抵抗制御弱界磁方式から電圧と周波数を変化させてモーターをコントロールするVVVFインバータ制御方式をトロリーバスでは初めて導入。主電動機、補助電源装置等については、最新の技術を取り入れ、またパワーステアリングを採用することにより操縦の円滑化を図っているんだとか。ちなみにバッテリーも搭載しているので、少しくらいなら架線が無いところでも走れるそうです。大阪車輌工業製の車体は、リベットレスのスケルトン(骨組み)構造のボディをシャシフレームに組み付け、車内は明るい配色と大型窓を採用し、内外をすっきり見せるデザインになっています。ちなみに、この辺の情報は、黒部ダムオフィシャルサイトの「日本で唯一のトロリーバス」からそのまんま転載しています(笑)。
しかし、日本では「珍カッケ~」扱いのトロリーバスですが、世界の都市では別に珍しい乗り物じゃないんですね。日本っていう国は、「旧い物」を簡単に切り捨ててしまって新しい物を構築するっていうところがあって、それはそれでいいのかもしれませんが、「何だかな~」と思うこともよくあります。例えば、ヨーロッパの各都市では、トロリーバスや路面電車がまだ都市内交通の主役を担っており、それは、よくも悪くもヨーロッパの国々の保守性を表わしていると思うんですが、トロリーバスもハイブリッドタイプに進化したり、路面電車もLRT(ライトレールトランジット)に様変わりして再評価されたり、旧い物を時代に合わせて育てていく、進化させていくという術に長けているような気がします。旧い物を切り捨てて、よりコンビニエンスなものを追い求めてきた日本ですが、時には立ち止まって、本当にそれでいいのかな、と考えてみることも必要なんじゃないでしょうか。
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