トラッカーのための「道草」知っと講座
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コラム
野鳥の貴重なエサです「ピラカンサ」
この季節になると、街中でひときわ目をひくのは、たわわに実をつけた「ピラカンサ」である。ピラカンサ(ピラカンサスともいう)は、バラ科トキワサンザシ属の総称で、ヨーロッパ南東部からヒマラヤ、中国西南部に6種分布し、日本ではトキワサンザシ、タチバナモドキ、カザンデマリの3種が広く栽培されている。中でも紅い実をつけるトキワサンザシ、橙色の実ををつけるタチバナモドキの2種がポピュラーだ。
ピラカンサは、なぜあんなにたくさんの実をつけるのか? 人間にはこういうボツボツの集まりを見るとサムエボが立つという人もいるが、野鳥たちにはこれがご馳走なのである。特に果実や木の実の季節が終わった冬期には、野鳥たちの貴重な餌となり、ヒヨドリなどに丸坊主にされたピラカンサを見かけることもある。ピラカンサは野鳥たちに実ををたくさん食べてもらうことで、種を遠くにたくさん運んでもらおうとしているのだろう。
ところで、ピラカンサはトキワサンザシ属と記したが、トキワのつかない普通のサンザシの実は、日本ではあまり食べられないが、中国では果物や果実酒、生薬、加工したお菓子などによく使われている。横浜の中華街などでは、水飴にくるんだサンザシの実を店頭で売る光景をよく見かけるが、さながらリンゴ飴ならぬ姫リンゴ飴といった趣きだ。
トキワサンザシもサンザシと名がつくからにはうまいのではないか、まして鳥たちがあんなに好んで食べるんだから不味いはずがない……、そう思い立ってピラカンサの実を頬張ったことがあるが、鳥たちには味覚がないんでしょうね、不味いを通り越して食えたもんじゃない味でした。
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