ナニコレ珍カッケ~

ナニコレ珍カッケ~
中央自動車道で謎の球状UFOに遭遇!
つ、つっ、ついに、我が「ナニコレ珍カッケ~」で、高速道路のそばを浮遊する謎の「球状UFO」を捕捉しました! 前を走るトヨタアルファ―ドの向こうの上空に、何やら丸く不思議な物体が浮かんでいるのが分かりますでしょうか? 間違いなくUFOです! 大スクープです!
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というのは、真っ赤な嘘ぴょん! 実は、送電線に取り付けられたボール状の物体なんですね。ただし、その用途は不明で、ここからが本当の謎解きの始まりなんです。
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ここは中央自動車道の笹子トンネルの近く、上り線だとトンネルに入るちょっと前、ちょうど上下線が少し分かれて高架橋を走るあたりです。中央道を走るたびに「アレ一体何なんだろう?」とずっと気になっていたのですが、今回調べてみました、調査は簡単でした、すぐ答えが出ました。
「送電線の間にあるお団子の正体は何?」で検索すると、すでに同じような質問をした人がいて、それには、送電線の敷設に従事していたという人からこんな回答が寄せられていました。
『あれは捻じれ防止ダンパー(またはカウンターウエイト)と言います。どんな目的で取り付けるか、長くなりますがご説明いたします。
雪が降ると電線に雪が付着します。電線に直角方向から風が吹く場合、雪は風下側に伸びるように付着します。雪の重量が風下側にかかるため、電線は回転します。雪がさらに降り続くとさらに風下側に 雪が伸びるように付着します。これがどんどん続くと、電線にだんだんと雪が付き、ひどいときは5センチくらいの直径の電線が20センチくらいになる場合があります。 そうすると雪の重みで電線が切れたりします。また天気が良くなって気温があがると、雪が急に落ち、その反動で電線が飛び上がったりして鉄塔に衝撃力を加え、鉄塔 が倒壊する場合もあります。電線が回転しなければ、電線への雪の付着の増加を押さえられます。
そのためこのダンパーは電線が回転(捻じれ)させないようにするため取り付けられています。これに合わせて雪の付着を少なくするために、電線に10センチ間隔でプラスチックのリングが取り付けられています。機会があったらじっくりと観察してみてください。
なおこのダンパーやリングは電工さんが、宙乗り機というブランコみたいなものを使って電線上を移動しながら取り付けていきます。大変な仕事なんですよ』。
なるほど「ダンパー」というものなんですね。このダンパーは、目的こそ違え自動車のダンパー(ショックアブソーバ)と同じ用語で、中にはダブルトーションパーなんて方式もあるようです。送電線には、このほかスペーサという部品もよく使われるのですが、これは早い話、複数の電線がお互いに干渉しないよう間隔を保つために間に入れる部品のことです。
さて、送電線のことも少しお勉強できたし、謎も解明されたし、これで「めでたしめでたし!」のはずなんですが、少しでも腑に落ちないことがあれば、徹底的に疑問を追うのが「ナニコレ名探偵」というものです(誰、ナニコレ名探偵って?)。
この写真に写っているボールが捻じれ防止のためのダンパーなら、なぜ1本の送電線だけに付いているのか? 他の送電線に付いていないのはなぜなのか? そもそもダンパーの役割を果たすにしては、このボールはあまりにも「らしく」なくなくないではないか? ひょっとすると「とんだ勘違い」をしているのではないか?
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そこで再び写真をよく見てみると、赤い球と白い球が交互に配されているのが分かります。はじめは、それに大した意味はないと思っていたのですが、実はこれが「とんだ勘違い」を正すきっかけとなりました。
ところで皆さんは、送電線の鉄塔には赤と白の2色の鉄塔と銀色一色の鉄塔の2種類があることをご存じでしょうか? かくいう私も今回初めて再認識したのですが、一般に送電鉄塔の高さが60m以上のものについては航空局に届け出る義務があり、その際、航空障害標識として点滅灯や標識(赤白2色)を取付る必要があるんだそうです。つまり、赤と白は航空障害標識の色。ということは、あの赤と白のボールも何らかの航空障害標識ではないか?
そこで現場のことをもう詳しく調べてみると、中央自動車道とほぼ並行して敷かれている送電線、正式には架空送電線と呼ぶそうですが、これはJR東日本の架空送電線で「大月-勝沼線」と称し、富士川上流の日川渓谷を跨いで敷かれているそうです。当然、並行して走る中央自動車道も同じように日川渓谷を跨いでいるわけで、自身も高架橋なので送電線の高さをあまり「高い」と感じませんが、実は地上から60m以上あるので、航空障害標識の対象となります。
これは、航空法の第51条の2および施行規則第132条の2に、『地表または水面から60メートル以上の高さにある架空線には昼間障害標識をつけるように定めている。具体的には「直径0.5メートル以上の球形で、赤、黄赤または白の一色である標示物を45メートルの等間隔に設置する」というもの。この規定に違反した者は5万円以下の罰金に処することが法第150条に定められている』とあります。 この対空標識は「大月-勝沼線」の80号鉄塔を挟んで79号鉄塔から81号鉄塔の間の送電線に付け
られているそうです。
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つまり、中央自動車道で見たボール状の物体は、UFOでもダンパーでもなく、航空機、特にヘリコプターに架空送電線の存在を知らせる対空標識だったんですね。
ところで余談ながら、先の航空法には付帯事項があり、鉄塔の方に航空障害灯が設置されている場合は、電線の障害標識は省いてもよいことになっているようです。しかし、ヘリコプターが送電線に触れて墜落したという事故のニュースはあとを絶たず、こんなザル法は改正すべきだという声が上がっています。航空機が架空送電線に接触する事故のことを「ワイヤーストライク」というそうですが、このワイヤーストライクを回避するために、外国のヘリには機体前方の上下に刃物をつけ、ここに挟みこんで電線を切るワイヤーカッターというものを取り付けている例もあるそうです。
いずれにせよ今回の「ナニコレ」は、危うく「とんだ勘違い」をしそうになったものの、終わってみれば、いつものようにあっぱれな謎解きぶり! ナニコレ名探偵は(だから 誰?)、テーマ曲にのって颯爽と去っていくのでした。
「解けない謎をさらりと解いて~ この世に仇なす者たちを~ デンデントロリコ やっつけろ~」 (それって、まんま盗作やん!)

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