世界に「トラック」が誕生してから、来年(2026年)で130年となるが、その生みの親であるダイムラー・トラックは博物館に眠る「世界初のトラック」を再整備し、再び自走可能な状態まで修復することを発表した。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Daimler Truck AG
世界初のトラックを再び自走可能な状態へ
ドイツ・シュツットガルト近郊のラインフェルデン・エヒターディンゲンに本社を構えるトラック&バスメーカー、ダイムラー・トラックのキャンパスには「世界初のトラック」が展示されている。より正確に言うとその歴史的な車両の精巧なレプリカだ。
来年の2026年は「トラック」という乗り物が世界に誕生してから130年目になる。自動車と産業の歴史において最も重要な技術的マイルストーンの一つとみなされているこの車両は、バーデン=ビュルテンベルク州の夏季休暇に合わせてしばらく展示を中断する。
ニュルティンゲンのフィリップ・マテウス・ハーン自動車学校で再整備を実施するためだ。
経験豊富なインストラクターの指導のもと、クラシックカーとモダン・クラシックカーの整備のために特別な訓練を受けた見習工たちにより、今後数週間をかけて稼働可能な状態にまで修復される。
こうしたプロジェクトは自動車という伝統の維持と、新世代の自動車整備士たちの訓練、世代を超えた職人同士のコミュニケーションを図るためのユニークな方法だという。
フィリップ・マテウス・ハーンはシュツットガルト地方でも有数のクラシック&モダンクラシックカーの整備が可能な学校だ。
プロジェクトが最優先するのは「本物」であることで、このトラックが自動車業界の記念碑として博物館に眠っているだけでは充分ではない。自身のホイールを駆動し、もう一度道路を自走することを目指す。
ラインフェルデン・エヒターディンゲンに戻ってくるのは8月末ごろを予定しており、ちょうど秋に開催される「シュピッツクラウト・クラシックス」への出展に間に合うようにスケジュールされている。シュピッツクラウトでは特別な技術史の一端を展示するだけでなく、実際に走行することにしている。
世界初の自動車は1886年にカール・ベンツが完成させた原動機付3輪車とされている。ベンツは1895年に史上初のエンジン駆動による客車、すなわち「バス」も製作している。
いっぽう、世界初の貨物用自動車は1896年に当時のダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフトが発表したもの。英国からの注文により製作されたダイムラーの「トラック」は、2気筒1527cc 5.6PS/720rpmのエンジンを搭載しており、最高速度12km/h、許容ペイロード1250kgであった。
メルセデス・ベンツ・ミュージアムなどに展示される車両は同車の1898年型のレプリカで、現存する世界最古のトラックとされている。
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