中継輸送とは、長距離・長時間におよぶ運行において、運行途中の中継地点で他の運転者と乗務を交替する輸送形態のこと。これによってドライバーの日帰り運行が可能になるなど労働環境の改善にもつながることから、官民挙げて導入が進められている。
この6月、その中継輸送の拠点となる「コネクトエリア」が静岡県内に新たに2拠点開業する。
文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真・イラスト/NEXCO中日本、遠州トラック、国土交通省
あらためて中継輸送とは
中継輸送には、ドライバー交替方式、トレーラのトラクタ交換方式、あるいはスワップボディのシャシー交換方式がある。
そのほかにも、お互いのトラックの荷物を積み替える貨物積替え方式も中継輸送の一種だ。これは、在庫を保管する機能を持たずに入荷してきた商品をそのまま仕分け・荷合わせして目的地へ通過するTC(トランスファーセンター=通過型流通センター)と同様の仕組みだが、積み替えに時間がかかり、人員やフォークリフト等の機材も必要となる。
ドライバー交替方式は、クルマはそのまま目的地まで向かい、運転者のみ交替する方式で、最も簡単に中継輸送を取り入れられるのが大きなメリットだ。ただ、トラックドライバーは他の人とクルマを共用する「乗り回し」を嫌う傾向があり、この点には留意が必要。
そういった意味では、トレーラによるトラクタ交換方式やスワップボディによるシャシー交換方式は効率的な中継輸送で最も理想的といえるが、中継地点にはそれ相応のスペースが必要なことが、単車トラックによる物流が多い日本では大きなネックになっていた。
新たな中継輸送拠点が静岡に2カ所誕生
こうした状況を背景にNEXCO中日本では、遠州トラックと共同で長距離トラックドライバーの労働環境・働き方の改善に寄与することを目的に、中継輸送拠点「コネクトエリア浜松」を2018年9月から運営を開始。
コネクトエリア浜松は、東名高速下り線の浜松SAに隣接する30バース(予備2バース)の中継拠点だ。
そして今回、新たに東名高速の浜松西インターチェンジ近傍に「コネクトエリア東名浜松西」、静岡市内の国道1号岡部バイパス沿いに、遠州トラックおよび有限会社マーキュリーと連携した「コネクトエリア静岡」を2025年6月1日に開業する。
それぞれの事業概要は次の通りだ。
コネクトエリア東名浜松西
(1)場所 静岡県浜松市中央区湖東町5720(遠州トラック浜松営業所内)
(2)アクセス 東名 浜松西ICから1km
(3)駐車スペース 4バース(幅3.5m×全長17m)
(4)事業者 NEXCO中日本・遠州トラック
コネクトエリア静岡
(1)場所 静岡県静岡市駿河区宇津ノ谷942(静岡市物流団地協同組合内)
(2)アクセス 新東名高速道路藤枝岡部ICから約8km/東名焼津ICから約8km
(3)駐車スペース 6バース(幅3.5m×全長17m)
(4)事業者 NEXCO中日本・遠州トラック・有限会社マーキュリー
中継輸送の新しい2拠点に期待される効果としては、
・「コネクトエリア」の駐車バース数が3割増強されることにより深夜時間帯の飽和状態が緩和
・3拠点の相互利用を可能とすることによる円滑・的確な中継輸送に対応
などが挙げられる。
なお、これに伴い、コネクトエリア浜松で2021年12月から実施している「無料モニター」制度は5月31日をもって終了するという。
【画像ギャラリー】中継輸送の拠点となる「コネクトエリア」(4枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方