米国パッカーグループがEV攻勢? 電動の大型トラックを相次いで発表!

米国パッカーグループがEV攻勢? 電動の大型トラックを相次いで発表!

 パッカーグループと言えば、トヨタ製の燃料電池モジュールを搭載するFCEV大型トラックを2025年に米国で量産開始する予定だった。このFCEVは延期されたようだが、代わりに(というわけではないだろうが)BEVトラックを大量に発表した。

 ケンワース/ピータービルトの新型BEV大型トラックをまとめて紹介します。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部
写真/Kenworth・Peterbilt

ピータービルト「579EV」とケンワース「T680E」がモデルチェンジ

米国パッカーグループがEV攻勢? 電動の大型トラックを相次いで発表!
ピータービルトのモデル「567EV」(左)とモデル「579EV」(右)

 米国のケンワースやピータービルト、オランダのDAFなどを傘下に持つ世界的な商用車グループ、パッカーが米国でトラックの電動化を加速している。

 2025年4月28日、米国で開催されたACTエキスポでピータービルトが「579EV」と「567EV」の2モデルを発表。同日ケンワースも「T680E」と「T880E」の2モデルを発表した。同一グループなので579EVとT680E、567EVとT880Eは部品など大部分が共通する兄弟モデルだ。

 さらにケンワースは5月6日、ゴミ収集車などに使われる低床シャシー「L770」を発表したが、最初から電動バージョンの「L770E」も設定されていた。

 短期間のうちにパッカーは北米向けバッテリーEV(BEV)トラックを5モデルも発表した形で、いずれも米国で「クラス8」と呼ばれる大型トラックになる。

 同時発表されたモデルのうちピータービルトのモデル579EVとケンワースのT680Eは主にトラクタ系の空力モデルで、これまでも電動バージョンが設定されていたので、今回はモデルチェンジとなる。総重量は82000ポンド(約37.2トン)だ。

 ディーゼルエンジン版とプラットフォームを共有するが、航続可能距離が最大200マイル(322km)となるBEV版はとりわけ地場輸送やドレージ輸送に適するという。パッカーグループとして新開発したセントラルドライブ方式の電動パワートレーンを搭載しており、出力・バッテリーオプションは次の通りだ。

モデル579EV・T680E次世代モデル
(パワーオプション(Peak) : 馬力 – トルク)
350 kW (470 hp) – 1850 lb-ft
400 kW (540 hp) – 1850 lb-ft
450 kW (605 hp) – 1850 lb-ft
(バッテリーオプション(Usable) : 容量 – 航続距離)
250 kWh (2 string) – 100 mi
375 kWh (3 string) – 150 mi
500 kWh (4 string) – 200 mi

 エクステリアのデザインは両車で異なるが、グリルやボンネットのサイドパネルなどにブルーのアクセントが入るのがBEVとしての共通点でスタイリッシュな印象を与えている。インテリアにもEV専用色を用意しているようだ。2025年後半の納車を予定している。

「567EV」と「T880E」

米国パッカーグループがEV攻勢? 電動の大型トラックを相次いで発表!
ケンワースの「T680E」(左)と「T880E」(右)

 いっぽうモデル「567」や「T880」は米国で言うところのコンベンショナル(従来型の角ばったボンネットトラック)・ボケーショナル(建設用などの特装系トラック)のクラス8トラックで、このクラスにBEVが設定されるのは業界初だという。

 ダンプなど特装車向けのリジッド車が多いが、トラクタも設定される。BEVを表すブルーのアクセントは579EVやT680Eと共通だ。搭載するパワートレーンも579EV/T680Eと同じ。

 パッカーの新型電動パワートレーンは、様々なモデルや用途に適合するように開発したそうで、電動モーターをミッドシップ搭載するセントラルドライブ方式。3段のトランスミッションを統合し、トルクの途切れないシームレスなシフトを実現したという。最大馬力は605hpとなり、トルクは1850lb-ft(約2500Nm)。オプションは次の通りだ。

モデル567EV・T880E
(パワーオプション(Peak) : 馬力 – トルク)
350 kW (470 hp) – 1850 lb-ft
400 kW (540 hp) – 1850 lb-ft
450 kW (605 hp) – 1850 lb-ft
(バッテリーオプション(Usable) : 容量 – 航続距離)
250 kWh (2 string) – 100 mi
375 kWh (3 string) – 150 mi
500 kWh (4 string) – 200 mi
625 kWh (5 string) – 250 mi
(ePTOオプション)
25 kW
150 kW

 なおバッテリーに信頼性の高いLFPを採用するのは579EV・T680Eと同じだが、バッテリーパック5基による625kWhの構成が可能になっており航続可能距離は最大250マイル(約400km)となる。

 ePTOによるボディ側への動力供給も低出力(25kW)と高出力(150kW)を選択可能だ。柔軟なアーキテクチャにより既存のサスペンションとも組み合わせ可能で、こちらも総重量82000ポンドで2025年後半に納車を開始する予定だ。

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