適正運賃の収受こそ輸送コストや労働条件改善の原資
燃料価格をはじめとする輸送コスト上昇分や、ドライバーの労働条件改善を進めるための原資については、荷主に対して適切に運賃・料金として転嫁していくことが基本であり、トラック運送事業者が適正な運賃・料金を収受できる環境を整備することが重要であると考えます。
そうした中で高騰する輸送コストや人件費等の上昇分を荷主に転嫁できていない運送事業者が少なくありません。荷主からコスト上昇分を運賃・料金として適正に収受できなければ、運送事業者の多くが持続可能な事業経営を行なうことができなくなります。
いっぽうで、車両価格について、アルミや半導体等原材料費の高騰、あるいは安全や環境性能向上のための装備が増えることなどによって価格が高騰しており、全ト協として車両価格の高騰問題についてもしっかり対応してまいります。
さらに昨年9月、軽油価格カルテルの疑いで公正取引委員会により石油販売会社に対し、犯則調査が行われました。大変遺憾なことであり、全ト協としては、徹底的な事実解明と厳正な対処を求めるとともに、公取委の動向を注視し適宜対応を図ってまいります。
現在、国交省では、トラック適正化二法で規定された適正原価の算定に向けた準備が進められております。適正原価という指標を国に示していただくことは大変ありがたいことであり、法的根拠のある適正原価が導入されることで、荷主が運送事業者に対して不当な運賃で輸送を依頼することへの大きな抑止力になることが期待されます。
いっぽう、適正原価の算定にあたっては、現在、国交省において、全事業者を対象に実態調査を実施しており、本調査では全国のトラック運送事業者から原価構造等のデータを提供いただく必要があります。会員事業者の皆様には必ず回答をお願いいたします。
併せて、全ト協では、適正原価の実効性を高めるとともに、運送事業者が適正な運賃・料金を収受できる環境の整備を進めるために、国交省をはじめとした関係省庁と連携し、独占禁止法や取適法における取締りや指導の強化、令和6年11月に体制が強化されたトラック・物流Gメンによる情報収集や荷主等による悪質な行為に対する是正指導の強化等を通じて、輸送コスト上昇分やドライバーの待遇改善に向けた原資を確保できるような取引環境の整備に向け、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
荷主や元請事業者の優越的地位の濫用に歯止めを
昨年4月に施行された改正物流法では、荷主や物流事業者等に対し、トラックドライバーの荷待ち時間等の短縮、積載率の向上等に資する取り組みを行う努力義務を課しているほか、元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付けるとともに、荷主およびトラック運送事業者等に対し、運送契約締結時の書面交付等を義務付けています。
さらに、本年4月から、一定規模以上の荷主に対して、物流統括管理者(CLO)の選任、中長期的な計画の作成や取り組み状況の報告等が義務付けられます。取り組みの実施状況が不十分な場合は、勧告・命令が実施されることとなります。
これらにより、物流業界の多重下請構造を是正し、実運送事業者の適正な運賃収受を図っていくことになります。
全ト協では、改正物流法を解説する会員事業者向けホームページを開設したほか、実務者向けに法改正の内容をわかりやすく解説する動画を公開するなど、会員事業者の理解促進に取り組んでいます。
また、運送契約の範囲や運賃・料金の明確化を図るため、運送契約締結時に、運送サービス(附帯業務等も含む)の内容やその対価等について記載した書面の交付が運送事業者と荷主の双方に義務付けられたことを受けて、全ト協では会員事業者が荷主との運送契約を円滑に、かつ効率的に締結できるよう、「運送申込・書面化アプリ」を開発し、デジタル化対応が進んでいない中小運送事業者に無償で提供しています。
併せて、全ト協では国交省と連名でリーフレットを作成し、事業者や荷主に向けた広報活動を展開するなど、業界全体で発信力を高め、改正物流法の周知徹底に努めたいと考えています。

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