なぜタイヤのバーストが起きるのか!? そのメカニズムをプロが解説!

 トラックのタイヤのバーストは、そばにいる人間が吹き飛ばされるほど、その威力は凄まじいものがあります。下手をすれば命を落としかねません。

 では、なぜバーストが起きるのか? そのメカニズムを商用車専門のプロのタイヤマンであるハマダユキオさんに解説してもらいました。

文・写真/ハマダユキオ

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今もなくならないタイヤのバースト

 暦の上では秋でも、このところは残暑が厳しく猛暑日も珍しくありません。暑い日に弱るのは人間だけではなく、タイヤも同様です。統計的な数値は無いのですが、夏場はやはりタイヤ故障の中でも「バースト」が多い気がします。

 バーストとは破裂や爆発という意味で、タイヤに於いてもそのまま破裂することですね。

 特にトラックタイヤのような大きなタイヤは充填する空気圧も高圧で、バーストした場合の威力は凄まじいものです。もし、まともに爆風を受けてしまえば、人命にかかわる大事に至ってしまう可能性もあります。

 とはいえ、現代においてタイヤ製品の不具合やバラツキ等はかなり少なくなっており通常使用での不具合というのは年間を通してもほとんどありません。

 リトレッドタイヤにしても台であるベースのタイヤの剛性・耐久性が向上し、再生するタイヤの検査、完成検査もたいへん厳しいモノになっており、突然貼り付けたトレッドだけ剥がれたということもほぼありません。

 そんな製品の品質向上によるものと、時代の流れで過積載がかなり減ったという背景もあり、バースト等のタイヤトラブルは減少していると思います。しかしこの気温です。路面温度が高い夏場を中心に、バーストによる現地出動や交換が無くなっているワケではありません。

 ベテランのトラックドライバーさんの中には、様々な過去の経験から、夏場は何かあったら怖いので早めにタイヤ交換するという方もいらっしゃいます。

 高品質になってきたタイヤがなぜバーストに至るのか? 原因があり結果となるワケで、そこに至る経緯として「セパレーション」を紹介しましょう。

バーストの原因「セパレーション」

 セパレーションはバーストに至る原因の一つで、タイヤの故障としては「重体」な感じです。分離とか剥離という意味で、タイヤの中身の部材が何らかの原因で剥がれることです。「セパ」と略すこと多いです。

 部材が剥がれることで本来なら無い隙間に空気が入って膨らんだり、タイヤの構造的な強度が落ちて充填圧に負けて膨らんだり変形したりします。

 何れにせよ時限爆弾を抱えてるようなモノで、そのまま使用を続ければ遅かれ早かれバーストに至ると思います。

 このセパレーションになる原因も幾つかあり代表的な例は、「ベルト破断セパレーション」「ヒートセパレーション」「劣化型セパレーション」の3つです。

 まずベルト破断セパレーションですが、主にトレッド面の溝の中に深い外傷を受けたことが原因でトレッドゴムの下にある構造材のスチール製のベルトが損傷・破断し、強度が下がったために規定圧に耐えられなくなりセパレーションを起こす事象です。

サイドのカットからのバースト例。内部構造のワイヤー等が切断され強度低下したことによるもの

 鋭く尖った石や金属片等がパンクに至る手前でトレッドゴムやベルトをえぐり、強度を下げる感じが多いですね。

 外観的にはトレッドゴム下のベルトの強度が下がるため、トレッド部分が膨らんだり変形したりします。運転中の違和感としては、悪路でもないのに定期的な振動を感じたら要注意ですよ。

 ヒートセパレーションは文字通りヒート、熱による剥離です。

 特徴的なのは広範囲にわたる剥離で、剥離面はベタベタに溶けたような跡があります。主な原因は低内圧による高負荷です。低内圧は長期に渡り内圧点検、エア補充が未実施だったり、ピンホールのような小さな穴で僅かづつエアが漏れて内圧が低下するなどの要因で起こります。

 空車時や定量以下でもタイヤにとっては高負荷な状態が続き、想定以上の発熱・蓄熱でセパレーションに至るものです。

 劣化型セパレーションは、これも文字通りタイヤの劣化から来るもので、故障状況はヒートセパレーションに似ています。

 イメージとしては古くなったゴム部材のひび割れが助長、そこへ長期使用で酸化・劣化したゴムが負荷に耐えられなくなりセパレーションに至るというものですね。

 特に、野外で長期保管したタイヤや、新車時から使用していないスペアタイヤを装着する時は要注意です。

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