修理できる・できないの判断基準は!? プロタイヤマンがパンク修理の可否を教えます

■低内圧走行によるパンクも修理不可

 いっぽう、こちらも「パンク修理不可」ランキングで上位につけているのが、低内圧走行によるタイヤの引きずりです。

 タイヤに充填した空気圧で車重を支えているワケですから、空気圧が下がれば当然車重を支えられなくなります。その結果タイヤは車重に潰されます。

 タイヤが潰れた状態で走行した場合、最も負担が掛かるのはタイヤのサイド部分です。トラック・バス用タイヤでは、タイヤのサイド部分には「カーカス」というコード状の部材が入っており、ここに負担が掛かってしまいます。

 このコードは車重等を支えるというより、大型車用タイヤの高い空気圧に耐えるためのモノですね。単純に空気圧を上げていけば耐荷重も上がりますが、それに耐えられる構造や部材でなくてはなりません。

 トラック用タイヤは1000kPaの空気を充填してもバーストすることはありません(もちろんタイヤのコンディションによります。新品、新品同等、傷無し等の場合)。

 これはカーカスコードによる高い空気圧に耐えられる強靭な内部構造のおかげです。しかし、低内圧走行によるイレギュラーな入力はコードに過度な疲労を与え、タイヤを自滅へと導いてしまいます。

 低内圧で走行することを「引きずり」といい、引きずりによるダメージの痕跡を「引きずり痕」と呼んでいます。

 この引きずり痕はタイヤの内面に現れますが、場合によっては外面にも「しわ」として現れます。ヒビとは違い、円周方向にうねった紋様が入ります。

 規定圧からエア補充程度の内圧低下ならば引きずり痕が入ることはありませんが、空車にも関わらず、タイヤサイドがたわんで見えるくらいの低内圧で走行した場合、引きずり痕が見られることが多いです。

 特に外面にしわが形成されるくらいの外力が掛かっている場合は内部のコードの損傷が大きく、パンク修理不可となるだけでなく、エア充填時にもバーストに至る危険性があります。

 空気圧は新品組み付け時から廃棄するまで同じままってことはありません。これは自然漏れというもので、空気がゴムを貫通してしまうため、内圧が下がるのです。

 タイヤメンテナンスで重要なのはエア圧の管理とローテーションです。タイヤは定期的にかまってあげないとスネて取り返しのつかない事態になる「かまってちゃん」ということをお忘れなく!

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