恐山~死の彷徨 その18
それから2時間ほど、我々は吹雪の中をさまよい続けました。最後の頃は全員がかなり必死で、もしもの場合「どうやって救助を呼ぶか?」珍しく真剣に話し合いました。しかし無い知恵は絞っても出るはずもなく、「とにかくなんとかしよう」という最初の話に戻るばかりで、一向に解決策は見えてきません。しかし誰の行いが良かったのか、ようやく食堂のような建物を見つけることができたのです。天は我を見放さなかったぁ~!
その食堂は閉まっていたのですが、ここはもう必死です。入口らしきところをガンガン叩くと、中から女の人が出てきました。「地獄の仏」とはこのこと。その姿は一瞬、神々しいまでの女神のように見えましたが、中に入れてもらってよくよく見ればごく普通のオバチャンでした。オバチャンは突然の乱入者に驚いたようで、さらに我々が東京からここまでやって来た理由を聞くと、「あれ、まあ‥」と言ったままかなり呆れていましたが、それでも「腹減ってんじゃねえけ?」と言って暖かいウドンを作ってくれました。まあ、このウドンの美味かったこと! 全員の冷えた身体と心に染み渡りました。(ラスト前につづく) 山高一浩