三菱ふそう子会社の大手架装メーカー「パブコ」から、小型サンドイッチパネルバン「SARA」が新登場! 新技術の採用で断熱性能を大幅に向上し、従来比マイナス3.5度の庫内温度を実現したSARAとは、一体どんなトラックボディなのか? 宅配サービス事業者が抱える「食の安全」「ドライバーの労務管理」「免許問題」などの問題解決の一助となるべく開発された「SARA」の実力をレポートした!!
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2023年3月発行「フルロード」第48号より
市場ニーズに応えて開発された小型サンドイッチパネルバン
食品や日用品を届けてくれる生活協同組合(生協)のトラックは、要求積載量(1.5トン以下)、車体サイズが小さい(運転しやすい)、普通免許で運転できる(ドライバーを採用しやすい)といった理由から、車両総重量3.5トン未満のいわゆる「ウルトラライトデューティトラック」を架装ベースに用いることが増えている。
積み荷は常温/冷蔵/冷凍の3温度帯で、基本的に冷凍機は付いていないので、冷凍食品はドライアイスと一緒に発泡スチロールのケースに入れて運ぶ。運行中に商品が傷むことはないが、夏場は外気温の影響で庫内の温度が上がりやすく、ドライバーの熱中症を防ぐためにも、ボディの断熱性能は高ければ高いほど良いとされる。
パブコは1990年代に生協をメインターゲットとする小型アルミバン「S-VAN」を開発し、ウルトラライトデューティトラック市場に参入。S-VANはアルミバンのパネル空間部に発泡スチロールの断熱材を埋め込んだ簡易断熱構造で、外気温が庫内に伝わりやすい構造のため、庫内温度が上昇しやすいという弱点を抱えていた。
ユーザーからは「もっと断熱性能が高いものがほしい」「他社は断熱性能の高いサンドイッチパネルバンを開発している。パブコでも開発してほしい」という声が届いていたそうで、こうした声に応えて開発されたのが小型サンドイッチパネルバン「SARA」というわけだ。
従来比マイナス3.5度の庫内温度を実現
SARAの最大の特徴はボディ構造で、フロント/サイド/ルーフ部に一枚物のサンドイッチパネルを採用。このサンドイッチパネルは断熱材(発泡ポリスチレン)をアルミパネルで接着したもので、それ自体の断熱性能が高いことはもちろん、外側と内側のパネルの間に補強材が入っていないため熱伝導もしにくい。
また、パネル同士を連結するコーナー部材も一新しており、従来のS-VANがワンピース構造の部材を採用していたのに対し、SARAは内外別体のツーピース構造の部材を採用。これにより外気温が庫内に侵入することがなくなり、断熱性能アップをもたらしているという。ちなみに共同他社のサンドイッチパネルバンはワンピース構造の部材を採用しているそうだ。
では実際にどれぐらい断熱性能が上がっているのか? 同社が2022年7月末に行なったS-VANとSARAの庫内温度比較試験によると、日中の炎天下の一番外気温が上がる時間帯で、SARAの庫内温度がS-VANより3.5度低かったそうだ。
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