女性・高齢者の積極採用はドライバー不足解消の切り札となるか!? 誰にとっても運転しやすいトラックとは?

■女性ドライバー等が望む改善点

 運転席まわりの課題・改善点として最も多かったのは、女性、高齢ドライバーともに「小物入れの充実度」だった。そのほかに両者ともに要望が多いのは、「ミラー類(後方・左側視界)」「スイッチ類の使い勝手」「キャビンへの乗り降り(ステップの位置)」「シートの調整範囲(背もたれ角度・座面の位置)」など。

 構成比は女性と高齢ドライバーで異なっており、「UVカットガラス」や「ラウンドカーテン」は女性ドライバーから、「室内灯の明るさ」「ベッドスペース」などは高齢ドライバーから要望が多い。

 身長の差などにより、後方・左側が見にくいと感じる人が多く、バックアイカメラや電動ミラーの導入、アンダーミラーの標準化などを求める声が多くなっている。高齢ドライバーを雇う事業者からは、ステップ等の乗降性の改善を求める意見も寄せられている。

 ボディ・荷役性に関わるものとしては、ともに「荷台への乗降性」に対する要望が最多となっている。内訳としては「ステップ・はしごが必要」「荷台が高い」「ステップ・はしごの高さ等の改善」「取手が必要」などで、やはり体格差に起因する問題も指摘されている。

 その他の意見としては「側面あおりが重い」「後部扉の改良」「荷台の照明を明るく」など。荷役作業は手積みにしてもパレット積みにしても荷台への乗降が完全になくなることはないので、三点支持が確保できるような取手・ステップ・はしごの設置は重要だ。

 事業者から見た荷台まわりの意見としても乗降性に関するものが最多となっており、女性ドライバー等の定着のためには、こうした部分に配慮したトラック・架装が求められる。

■トラック運送業界とトラックの「あり方」

 人手不足解消のためには、現在働いているトラックドライバーの雇用を維持するとともに、新しい人材を確保し、年齢が上がっても働き続けられる環境を整備することが重要だが、そのためには労働災害の抑制が不可欠だ。

 労災の発生状況をみると「墜落・転落」が全体の29%を占めており、年齢が上がるほど増える傾向にある。死亡災害に限ると「交通事故」が41%と最も多く、「墜落・転落」「はさまれ・巻き込まれ」を合わせると、この3つで全体の約7割を占める。

 ソフト面の取り組みに加えて、運転から荷役作業まで総合的にトラックの安全性を考慮する必要がある。事業者(運送会社)の視点から見ると、女性ドライバーの採用に前向きな企業が9割近くを占めており、完全な「男社会」であった運送業界の意識は変わりつつある。

 いっぽう高齢ドライバーの雇用意欲は7割弱にとどまっているが、採用後の定着率は高い傾向にある。

 なお、女性職員へのアンケートで改善点として多く挙げられたのは「子育て支援」「トイレ・シャワー等の設備」「勤務体系の改善」などで、車両や作業内容より職場環境に問題があると感じているようだ。本題からは外れてしまうが、事業者の努力にも期待したい。

車両以外で女性ドライバーが改善して欲しいと思うことのアンケート結果

 「未来のトラック」というと、自動運転や電動化といった新技術を思い描いてしまうし、「将来の物流」と聞けば、隊列走行やダブル連結トラックの様に車両や物流の見直しが必要だと思ってしまう。

 しかし調査を通じて見えて来たのは、安全性や操作性、荷役作業性の着実な改善が求められているということで、それは女性ドライバーや高齢ドライバーだけでなく、誰にとっても運転しやすいトラックの「あり方」でもある。

 自動車業界の変革期に当たって、ムーンショットではない現実的な「これからのトラック」について議論を深めていくことも重要ではないだろうか。

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