UDトラックスの北海道寒地試験を見る!

UDトラックスの北海道寒地試験を見る!
どんな過酷な条件下でもヘビーデューティが求められるトラックは、当然のことながら厳寒の地でも安心して使用できる装備や性能を備えていなければなりません。そこで日本のトラックメーカーは、真冬の北海道を中心に寒地試験を繰り返し行なっていますが、そんな知られざる過酷な寒地試験の模様をこのほどUDトラックスが一部メディアに公開しました。なんか興味が湧きますね。ただ、キャップは寒いのが大の苦手なので、今回は写真撮影も現地レポートもUDトラックス広報の栗橋恵都子部長にお願いしちゃいました(笑)。以下は、栗橋さんのレポートの要約です。

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寒地走行試験とは、実際の厳寒の使用環境下でトラックの走行試験を実施し、走行・耐久性能を確認し、ユーザーの安全や稼働率向上に努めるものです。寒冷地の路面状況でも安心して快適に利用できる輸送ソリューションを提供するため、UDトラックスでは毎年真冬の北海道で寒地試験を実施しています。 
寒地走行試験には、極寒の自然環境だけでなく、広域な場所、実験エンジニアのための宿泊施設、病院、車両故障時の近隣のUDトラックスのサービス工場による修理体制、地元業者による造成技術が必要です。UDトラックスが毎年寒地試験を実施している北海道北見にはこれらすべての環境が整っており、私たちも安心して試験を実施することができます。
今回の寒地試験の期間は、1月26日~2月14日(約3週間)で、現在も引き続き実施中です。時間は基本的に午前8時から午後5時までですが、夜間走行での実験なども行なっています。場所は、北見市豊田の北見地区農道離着陸場で、通称「農道空港」と呼ばれています。
試験に関わる人数は、3週間で車両・駆動系担当合わせてのべ約200名になります。試験車両台数は大中型合わせて3台になります。
試験路は、農道空港の滑走路の長さ600m×幅60m部分を使用。路面は、試験用にアイスバーンや圧雪路面を造成しています。
試験のメニューは、       
・寒冷地での走行・発進性能、スラローム(旋回)性能、安全性能などを評価。
・氷点下で放水・凍結させて車両の状態を確認。
・試験方法確立の調査。
・滑りやすい路面での操縦安定性、発進性、着雪、凍結、寒冷地での暖房性などの評価。低温時のエンジン性能、排ガス浄化装置システムの寒冷地評価。
……などとなっています。
氷点下の環境となる寒地試験を行なう目的は、
・お客様の実際の使用環境で試験走行することが重要であるため。
・低温試験室でエンジン単体の試験も行なうが、お客様が使用する車両で実際の使用環境での試験は必要不可欠。      
・国内で最も寒さが厳しい北海道のお客様にも自信を持って当社車両を提供できる。 
・お客様が満足される車両を提供するためには、お客様のさまざまな使用環境を網羅した条件で車両の適合性を評価する必要がある。氷点下の環境は、お客様の使用環境の一つでもあるので必須要件となる。
・自然環境で評価するメリットは、温度環境だけではなく、雪の付着や凍りつきなどの複合条件も加味できるところにある      
・試験室などで低温環境を作って実験することは可能だが、より実際に近い複合条件で再現することは非常にむずかしい。
・暑い環境での実験は場内で再現できる一方で、寒い環境は場内では再現できない。雪が付いたままで走行するとセンサーが誤作動してしまったり、凍結して作動停止するなどの複合的要素は実際の環境下でないとつくれない。
……などとなっています。
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UDトラックスでは、1985年から厳冬期の北見で寒地試験を実施していますが、第1回は若松自然休養村センターで、その後1986年から10年間は旧北見競馬場(若松)で実施していました。1997年からは現在の農道空港で寒地試験を行なっていますが、他の期間は空港やイベント会場として使用されているものの、1月から3月は空港が閉鎖されるため、UDトラックスが有効活用させていただいております。ちなみに試験期間の平均温度はマイナス20℃と気温は下がるものの、比較的積雪が少ないため、試験路面を安定させるのにも都合のよい気象条件になっています。また、北見市をはじめ地元の方々の暖かいサポートもあり、UDトラックスは現地の方々ともとてもよい関係を築いています。
北見での寒地試験は今年で30回目となりますが、それ以前は、UDトラックスの実験部は、より良い寒地試験場を求めて北海道を転々としたそうで、大変苦労したと聞いております。
今後とも北見市の皆さんとより密接な関係を築き、末永く寒地試験を続けられるよう願っています。そしてUDの社名にある「Ultimate Dependability=究極の信頼」が示すとおり、更なる品質向上を図り、UDトラックスが極寒の地でも最適なトラックであるとの称号を獲得したいと思っています。 
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